コロナに対する防御、感染歴とワクチン接種はどちらも有効とCDC デルタ株流行時のデータから

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米マサチューセッツ州の病院のコロナ病棟で患者を治療する医療従事者/Joseph Prezioso/AFP/Getty Images

米マサチューセッツ州の病院のコロナ病棟で患者を治療する医療従事者/Joseph Prezioso/AFP/Getty Images

(CNN) 新型コロナウイルスのデルタ株が米国で蔓延(まんえん)していた時期、ワクチン接種と以前の感染はともにウイルスに対する防御に寄与していたが、最も安全な防御手段は前者だったとの研究結果が出た。米疾病対策センター(CDC)が19日に発表した。

研究に用いられたデータは、新たな変異ウイルスのオミクロン株の感染が米国で拡大する前のもの。当時はまだブースター(追加)接種も広範には実施されていなかった。CDCは新型コロナワクチンとブースター接種、オミクロン株に関する追加のデータを週内にも発表するとしている。

今回のデータについて研究者らは「新型コロナは新たな変異株が出現すれば疫学的に変化するものの、ワクチン接種は依然として将来の感染を防ぐ上で最も安全な戦略だ。入院や長期にわたる後遺症、そして死亡に対する防御という意味でも同じことが言える」と指摘した。

研究では4つのグループの間で新型コロナの感染と入院のリスクを分析した。内訳はワクチン接種済みで以前に感染したグループとしていないグループ、ワクチン未接種で以前に感染したグループとしていないグループの4つだ。データはカリフォルニア州とニューヨーク州での約110万件が対象。期間は昨年5月下旬から11月中旬までだ。入院のデータはカリフォルニア州のもののみを使用した。

その結果、全体で感染率と入院率が最も高かったのはワクチン未接種で以前の感染経験のないグループだった。

当初、以前に感染した人々の感染率はワクチン接種済みで感染歴のない人々を上回っていたが、デルタ株が米国内で支配的となる後の時期に入るとこの数字は変動し、感染歴のある人々の感染率はワクチン接種のみで感染歴のない人々よりも低下したという。

しかしこの変動は、多くの人々の間でワクチンによる免疫が落ちていく時期と重なる。今回の研究では、免疫が低下していくとみられる接種からの時間の経過は分析に盛り込まれていない。ブースター接種の効果も考慮しておらず、オミクロン株の出現よりも前に得た結果となっている。

対象時期を通じて、入院リスクはワクチン未接種で感染歴もない人々が有意差を伴って高く、他のすべてのグループを上回った。

ニューヨーク州の科学担当専門官を務めるイーライ・ローゼンバーグ博士は、データ全体が示唆する内容としてワクチン接種も実際の感染歴もその後の感染や入院に対する防御効果を有していると説明。その一方で「新型コロナに初めて感染するのは相当なリスクが伴う。ワクチンを接種し、ブースター接種でその効果を更新し続けることが実際のところコロナによる感染と重症化を防ぐ唯一の安全な選択肢だ」との見解を示した。

バンダービルト大学医療センターに在籍する感染症の専門家、ウィリアム・シャフナー博士もCNNの取材に答え、以前の感染が一定レベルの防御につながることは疑う余地がないとしつつ、ワクチン接種によりその防御を増強する効果が得られると述べた。

ただ変異株の性質は変化するものだと専門家らは指摘。過去の感染からの免疫がどれほど有効に発動するかなども変異株ごとに異なると付け加えた。

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