マンモス復活プロジェクトが始動、ゾウを遺伝子操作 16億円の資金獲得

ジョージ・チャーチ教授/Craig Barritt/Getty Images

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そうした特徴を兼ね備えた細胞のプログラミングに成功すれば、人工子宮を使って胚(はい)から胎児へと成長させる計画。ゾウの場合、この過程には22カ月を要する。ただ、この技術はまだ確立には程遠いとして、生きたゾウを代理母として使う可能性も排除していない。

「編集は順調にいくと思う。それに関して我々には豊富な経験がある。人工子宮の作製は保証されていない。これは純粋な工学ではなく、科学の要素が多少あり、そのために不確実性が増し、実現までに時間がかかる」とチャーチ氏は話している。

マンモスの進化を専攻するストックホルム古遺伝学センターのロベ・ダレン教授は、この取り組みには科学的な価値があると考える。特に遺伝の病気があったり、近親交配で遺伝の多様性が失われている絶滅危惧種の保全に役立つという。

ただ、ここで生まれる動物はマンモスではなく、毛の長くて脂肪を蓄えたゾウだとも指摘。マンモスをマンモスたらしめる遺伝子の手がかりはほとんどないと語る。

一方、遺伝子操作した動物を誕生させる目的で、生きているゾウを代理母として使う点に倫理上問題があると指摘する声もある。ダレン氏は、マンモスとアジアゾウは人間とチンパンジーぐらい違うと語る。

また、ロンドン自然史博物館のマンモスの専門家トーリ・ヘリッジ氏は「マンモスを復活させて北極圏に住まわせ、北極圏を炭素の貯蔵庫としてより適した場所にするという考えには多くの問題がある」と指摘する。マンモスなどの草食動物が極北の地で草原を維持し、草を踏みつけ木を倒し、雪を圧縮することで永久凍土を保つという考えには、ダレン氏もヘリッジ氏も根拠がないと考える。ダレン氏は「マンモスをそこに置くことで気候変動に影響を与えられると示すものは何もない」と語る。

結局のところ、これまで述べられたような生態系の設計者としてのマンモス復活の目標は重要ではないかもしれない。多くの人々がマンモスに似た動物を近い距離で見てみたいと望む可能性がある。

ラム氏によると、このプロジェクトでは収益獲得へのプレッシャーはゼロだという。生命工学や医療の分野への応用がきくイノベーションにつながる可能性があり、ラム氏はプロジェクトをアポロ計画になぞらえる。同計画は宇宙探査について人々を心配させたが、結果的にGPSなど多くのすばらしい技術につながったと同氏は語る。

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