50年前の凍結精子から子羊誕生、世界最長記録 オーストラリア

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オーストラリアの研究チームが、50年間凍結保存されていた精子を使って子羊を誕生させることに成功/Morgan Hancock

オーストラリアの研究チームが、50年間凍結保存されていた精子を使って子羊を誕生させることに成功/Morgan Hancock

(CNN) オーストラリアの研究チームが、50年間凍結保存されていた精子を使ってメリノ種の羊数十頭を妊娠させることに成功したと発表した。人工授精で子どもが生まれた精子の凍結保存期間としては、世界最長の記録になるという。

シドニー大学の研究チームは、1968年から凍結保存されていた精子を使って羊56頭の人工授精を行った。そのうち子どもが生まれたのは34頭で、妊娠率は61%。この割合は、12カ月間凍結した精子を使った場合の妊娠率59%とほとんど変わらなかった。

同大のサイモン・デグラーフ准教授は、「子羊の誕生によって、凍結精子の人工授精が現在も将来的にも安全で安定した生殖技術であることが実証された」と指摘する。

精子は氷点下196度の液体窒素で凍結保存されており、実験を前に解凍して動きや速さ、生存能力、DNAの状態を調べた。その結果、50年間の保存でも、1年間の保存でも精子の状態に変わりはなかったという。

精子を提供した羊の中の1頭、「サー・フレディー」は1959年生まれだった。

今回の研究で生まれた子羊はビクトリア州の農場で飼育されている。今後2年間かけて観察し、研究室の外で生まれた羊と比較して、メリノ種の選抜飼育による数十年の変化を探る方針。

研究で生まれた子羊と一緒に写真に収まるサイモン・デグラーフ氏(左)/Morgan Hancock
研究で生まれた子羊と一緒に写真に収まるサイモン・デグラーフ氏(左)/Morgan Hancock

長期間凍結保存しても生殖機能が保たれたという事実は、例えば化学療法を受ける前に精子の凍結保存を希望する男性などにとっても朗報だとデフラーフ氏は指摘する。

さらに、絶滅危惧種を救う取り組みにとっても大きな助けになるとしている。

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