リモートワークの米国人に押し出される住民たち メキシコ市

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オルティスさんが家族とレストランを営んでいたビル。2月に立ち退きを余儀なくされた/CNN

オルティスさんが家族とレストランを営んでいたビル。2月に立ち退きを余儀なくされた/CNN

市内で生まれ育った大学教授のブストス・ゴロスペさんは、引っ越してくる米国人の気持ちも分かると話す。為替レートのおかげで米国よりも大きな家に住み、豊かな生活を送ることができるからだ。

ゴロスペさんによれば、米国人の流入はパンデミック期間中に加速した。メキシコ国境は他国より制限が緩かったことに加え、この時期に米企業の多くがリモートワークの制度を導入したという背景もある。

米国務省のデータによると、メキシコ在住の米国人は160万人。だが観光ビザで滞在しながらリモートで働く米国人の数は定かでない。メキシコ政府もその人数は把握していないが、今年1~5月に観光目的でメキシコに入った米国人は530万人あまりと、2019年より100万人近く多かった。

不動産業者のエディタ・ノレイコさんのもとには毎週、ロサンゼルスやニューヨークの米国人からメキシコ市への移住についての問い合わせが何十件も寄せられる。生活費の高騰から逃れて為替レートの恩恵を受けたいという声が多いという。

メキシコにとって米国人旅行者がもたらす観光収入は重要だが、住民の一部には不満が広がっている。ゴロスペさんによれば、最近は外国人がスペイン語を話そうとせず、地元の住民に英語で話すことを期待する場面が目立つ。現地の文化に飛び込んで理解しようとする態度もみられない。

「私たちはもちろん、外から来る人たちを嫌っているわけではない」と、ゴロスペさんは強調する。だが高級化した街角で、「どうか出て行って。あなたたちにはここにいてほしくない」と書かれた看板を見かけたこともあるという。

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