中国不動産開発の花様年、債務を返済できず 恒大以外にも危機波及の懸念

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中国不動産業界で、経営難の中国恒大集団以外にも財務のひっ迫が広がっているとの懸念が出ている/Andy Wong/AP

中国不動産業界で、経営難の中国恒大集団以外にも財務のひっ迫が広がっているとの懸念が出ている/Andy Wong/AP

香港(CNN Business) 高級集合住宅を手掛ける中国の不動産開発会社、花様年控股集団は今週、計3億1500万ドル(約350億円)の債務の支払いができなかった。肥大化した中国不動産業界において、経営難の中国恒大集団以外にも財務のひっ迫が広がっているとの懸念が高まっている。

深センに拠点を置く花様年は証券取引所への声明で、4日に償還期限を迎えた2億600万ドル規模の社債を償還できなかったと説明。現在は「グループの財務状況や現金ポジションに影響が出る可能性」を見極めているところだと明かした。

これとは別に、売り上げベースで恒大に次ぐ国内2位の不動産開発会社、碧桂園の不動産管理子会社も、花様年が約7億元(約120億円)の融資を返済できなかったことを明らかにした。

S&Pとムーディーズは花様年の信用格付けを「デフォルト(債務不履行)」に引き下げたほか、今回の元本不払いにより、残りの社債についても不履行になる可能性が高いとの見方を示している。

ムーディーズのシニアアナリスト、セリーヌ・ヤン氏は格下げの判断について、「同日(4日)償還期限を迎えた2億570万ドルの社債の支払いができなかったとの花様年の発表を受けた対応であり、デフォルト後に債権回収できる公算は小さいとの当社の見通しを反映している」と述べた。

今回の報道を受け、膨張した中国の不動産業界で債務問題が深刻化しているとの懸念が再燃した。中国の銀行による2021年4~6月期の人民元建て融資の残高のうち、不動産業界向けのものは29%を占める。不動産業界は中国経済にとって極めて重要であり、不動産および関連業界の対国内総生産(GDP)比は約30%に上る。

マッコーリー・グループの中国エコノミスト、ラリー・フー氏とシンユー・ジー氏は5日の調査ノートで、「(中国の)不動産業界は懸念すべき状況だ」と述べた。

花様年のデフォルトは、恒大の問題が「住宅購入者や不動産開発業者、銀行の心理を冷やし、さらに多くの開発業者が資金繰りに行き詰まる可能性」を示しているという。

中国不動産市場の見通しは明るいものではない。マッコーリーの試算によると、中国の上位30都市における9月の不動産売上高は1年前から31%下落した。

恒大の債務危機はこのところ世界の投資家を動揺させており、中国経済や金融市場の幅広い部分に影響が波及する可能性に懸念が高まっている。

中国政府は20年夏、市場の過熱防止のため過度の借り入れる抑える目的で、不動産業界の引き締めに乗り出した。恒大の問題はその後1年以上くすぶっている。

さらに今年、中国政府は政策目標で「共同富裕(ともに豊かになる)」を優先し、住宅価格の高騰を抑える方針を明確化した。住宅高騰が所得格差を深刻化させ、経済・社会的安定性を脅かしているとの見方を示している。

恒大の流動性危機が深刻化したのはここ数カ月のことだ。恒大は9月、早急に資金調達できなければデフォルトに陥る可能性があるとして、投資家に資金繰りの危機を警告。ここ数週間で少なくとも2回、社債の利払いができなかった。

英オックスフォード・エコノミクスのアジア経済部門を率いるルイス・クイジス氏は5日の報告書で、「恒大の問題がリーマンショックのような状況を引き起こす可能性は低いものの、進行中の不動産セクターの減速は悪化するだろう」との見通しを示した。

ただ、中国の政策立案者は従来の姿勢を堅持しているように見える。中国人民銀行と銀行規制当局は先週、住宅購入者を保護すると表明。声明では不動産開発業者に言及した部分はなかった。

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