米たばこ大手、ぜんそく吸入薬メーカーの支配株を取得
ロンドン(CNN Business) 米たばこ大手フィリップ・モリス・インターナショナルは16日、ぜんそく吸入薬のメーカー、英ベクトラの支配株を取得したと発表した。医療慈善団体はこの買収に反対していた。
「マールボロ」ブランドなどを手がけるフィリップ・モリスは声明で、ベクトラ株の75%近くを取得して多数株主になったと発表。ベクトラの株主のうち45%以上が買収提案を受け入れ、29%については公開市場で購入した。
フィリップ・モリスのヤチェック・オルザック最高経営責任者(CEO)は声明で、「我々はベクトラの買収で重要な節目に到達した」「ベクトラが当社の脱ニコチン戦略において重要な役割を果たすことになり興奮している」と述べた。
フィリップ・モリスは電子たばこや呼吸器薬など、煙を出さない製品が売上高に占める割合を現在の約4分の1から4年以内に半分以上にしたい考えで、ベクトラ買収はこの取り組みにとって追い風となる。
ベクトラはノバルティスやグラクソ・スミスクラインなどの企業向けに、ぜんそくを含む肺疾患の吸入薬を13種類製造している。
批判派は10億ポンド(約1500億円)規模となる今回の買収への反対を続ける意向。16日には、慈善組織や公衆衛生の専門家、臨床医など35個人・団体が英保健省に対し、政府の介入を求める書簡を送った。
書簡では「今回の買収が公共の利益にならないこと、喫煙関連疾患の治療を通じて再度利益を上げられるよう、喫煙の害を増大させるという逆インセンティブが(フィリップ・モリスにとって)生まれることは明白だと考える」としている。