米FDA諮問委、ノババックス製ワクチンの緊急使用許可を検討へ

米FDAの諮問委員会が、ノババックス製ワクチンの緊急使用許可を検討する/Andrew Caballero-Reynolds/AFP/Getty Images

2022.06.07 Tue posted at 18:52 JST

(CNN) 米食品医薬品局(FDA)の諮問委員会は7日、米ノババックス製の新型コロナウイルスワクチンについて、緊急使用許可(EUA)を出すかどうかを検討する。

FDAは3日に公開した文書の中で、ノババックス製ワクチンは軽症から中等症、重症の新型コロナ感染症に対し、接種完了後2カ月半にわたって90.4%の効果が認められたと報告した。一方、65歳以上の成人では、効果が78.6%に落ちるとみられる。

ただし、これはオミクロン株の流行より前に得られた数字で、オミクロン株に対する効果やその持続期間は明らかでない。ノババックスは昨年12月、オミクロン株などの変異株にも幅広い効果を示すと主張していた。

同社のワクチンはまず3週間の間隔で2回、さらに6カ月後に3回目を接種する。

副反応はほとんどが軽度から中等度で、2~3日のうちに収まっている。ただFDAは文書の中で、心筋炎や心膜炎がまれながら少数、ワクチンとの因果関係が懸念されるタイミングで報告されていると指摘した。

それによると、ノババックス製ワクチンの接種後に発症したのは6人で、このうち5人は16~67歳の男性。6人中5人が病院に収容されたが、その後回復している。

心筋炎、心膜炎のリスク増大は、米国内で現在使われている米ファイザー製、モデルナ製のワクチンでも指摘されていた。

昨年のインドネシアを皮切りに、EUなどがノババックス製ワクチンを相次ぎ承認した

ノババックスは3日、このリスクについて、ワクチンを接種したグループで0.007%、プラセボ(偽薬)グループで0.005%とほとんど差がなく、因果関係を確立する証拠は不十分だと主張した。

FDAの諮問委員会では、「18歳以上を対象とした2回接種のメリットがリスクを上回るかどうか」が採決にかけられる。

ノババックスがFDAにEUAを申請したのは1月末。これに先立ち、昨年11月にはインドネシアが、世界で初めてノババックス製ワクチンの緊急使用を承認していた。その後、欧州連合(EU)や英国、カナダ、韓国、オーストラリア、インド、フィリピン、ニュージーランドなどが相次いで承認した。

米国内ではすでに大半の成人がワクチン接種を済ませているが、ノババックス製ワクチンは当初のワクチンの種類にかかわらず追加接種の候補になり得ると、同社は強調してきた。

ノババックス製はファイザーとモデルナが開発したメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンとは違い、たんぱく質をベースとした従来型ワクチン。蛾(が)の細胞に新型コロナウイルスの表面を覆うたんぱく質を作らせ、それを基に合成したウイルス様の抗原を接種する。

EUA申請中のオリジナル型とは別に、オミクロン株に特化したワクチンの開発も進んでいる。同社は今週、このワクチンの有効性と安全性を確かめる第3段階の臨床試験が始まったと発表した。

オーストラリアでの臨床試験に1000人以上が参加するという。ファイザーまたはモデルナ製の接種を済ませて3~6カ月が経過した時点で、ノババックス製のオリジナル型かオミクロン株対応型、またはその2つを混合したワクチンを2回接種する。試験期間は約10カ月で、今年中には初期結果が出る見通しだ。

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