(CNN) 北京冬季オリンピックの開幕を目前に控え、到着時の新型コロナウイルス検査で陽性反応が出たため選手村に入れなかったベルギーの選手が、開幕を前に自らの窮状を涙ながらに訴えて、ようやく隔離施設から解放された。
窮状を訴えていたのはスケルトン女子ベルギー代表のキム・マイレマンス選手(25)。北京到着時の検査で陽性と判定され、隔離を強いられた。
マイレマンス選手は2日のインスタグラムへの投稿で、3日間隔離されて検査で2回続けて陰性となったため、隔離施設を出られると思ったと説明した。
ところが選手村に戻ることはできず、政府の別の施設に連れて行かれたという。
涙をこらえながら、もう選手村には入れないかもしれないと訴えたマイレマンス選手。「ものすごくつらいです。これからどうするか、私に考える時間をください。こんな孤立状態で、これからの14日とオリンピック競技に耐えられるかどうか分からないので」
この訴えから数時間後、マイレマンス選手は国際オリンピック委員会(IOC)の介入のおかげで、その日のうちに施設から解放された。
「今も隔離された棟にいますが、少なくとも選手村に戻りました」「ここなら安心して、少しはいい練習ができます」と同選手はインスタグラムに書き込んでいる。
中国は今も「ゼロコロナ」政策を守り続ける世界でも数少ない国の1つとして、オリンピックでも厳格な対策を徹底させている。
マイレマンス選手は出発前に受けた10回以上の検査で陰性だったことから、北京で陽性反応が出た時はショックを受けたと振り返った。
感染の拡大を防ぐため、北京オリンピックは一般市民と選手や関係者を完全に切り離す「バブル方式」で実施される。
バブル内で陽性と判定されれば即座に大会から引き離される。症状があれば指定病院に送られて治療を受け、症状がなければ隔離施設に送られる。全ての症状が消え、検査で2回続けて陰性となるまでバブルに戻ることは許されない。
4日の開幕が迫る中、陽性反応が出て既に出場をあきらめた選手もいる。
ロシア・オリンピック委員会(ROC)のバイアスロン女子代表、バレリア・バスネツォワ選手は北京到着後に2回の検査で陽性となり、オリンピックの夢を断たれた。ROC関係者は同選手も含め、1月31日の時点で3人の陽性が伝えられた。
ボブスレー女子の米代表、エラナ・マイヤーズ・テイラー選手も北京到着の2日後に陽性反応が出て隔離を強いられた。
北京オリンピック委員会によると、バブル内でこれまでに確認された新型コロナの症例は280例を超え、うち102例を選手やチーム関係者が占めている。