武漢の血液サンプル、中国が検査へ コロナ起源調査の一環で CNN EXCLUSIVE

中国湖北省武漢市を流れる長江(揚子江)=2020年3月4日/Getty Images

2021.10.13 Wed posted at 12:22 JST

ロンドン(CNN) 中国が新型コロナウイルスの起源に関する調査の一環で、湖北省武漢市で収集された血液バンクのサンプル数万件を検査する準備を進めていることが分かった。中国の当局者が明らかにした。

保管されているサンプルは最大20万件で、2019年の最後の数カ月に収集されたものを含む。世界保健機関(WHO)の調査チームは今年2月、これらのサンプルについて、新型コロナウイルスが人間に初めて感染した時期と場所の特定に役立つ重要な情報源になる可能性があるとの見方を示していた。

サンプルは現在、武漢の血液センターに保管されている。入手時期は19年全体に及ぶとみられており、武漢の住民の幅広い層から得られたリアルタイムの組織サンプルが提示されることになりそうだ。武漢は新型コロナウイルスが初めて人間に感染した場所と考えられている。

中国の当局者によると、こうした血液バンクのサンプルは、当該の献血に関する訴訟で証拠として必要になる場合に備え、2年間にわたって保管されてきた。

中国湖北省武漢市を流れる長江(揚子江)=2020年3月4日

この2年間の期間は近く、新型コロナウイルスが初めて人間に感染した時期との見方が多い19年10~11月について終わりを迎える。中国国家衛生健康委員会の当局者はCNNに対し、現在は検査の準備を進めているところだと明かし、2年間の期間が終わり次第、検査が実施されると確認した。

米コロンビア大学のモウリーン・ミラー准教授(疫学)は「(血液サンプルは)確実に重要な手がかりを含んでいる」と指摘。中国に対し外国人専門家の立ち会いを許可するよう求め、「少なくとも資格のあるオブザーバーが立ち会わない限り、誰も中国の報告する結果を信じないだろう」と述べた。

WHOの調査に関わった中国チームの責任者、梁万年氏は7月の記者会見で、中国は血液サンプルの検査を行う方針だと説明。そのうえで、中国の専門家は「検査結果が得られた後、中国と外国の両方の専門家チームに結果を渡すだろう」と述べていた。

正しく保管されていれば、これらのサンプルは人間が新型コロナウイルスに対して獲得した最初期の抗体に関する重要な兆候を含んでいる可能性がある。

梁氏は7月、武漢で初めてコロナの症例が報告されたのは12月8日だが、「我々の研究者や中国人学者の以前の関連する研究では、おそらく12月8日の症例は最初のものではなかったことが十分に示唆されている。それ以前にも他の症例が発生していた可能性がある」と述べていた。

記者会見を行う中国チームの責任者、梁万年氏=7月、中国・北京

米バンダービルト大医学部の感染症部門に所属するウィリアム・シャフナー氏は、「興味深い機会になる。このウイルスが正確にどの月に中国人に影響を残し始めたのか、時間をさかのぼって発見する好機になるだろう」との見方を示す。

誰かどこで最初に感染したのかや、感染者の年齢、職業といった情報が得られる可能性もあると、ミラー氏は言い添えた。

シャフナー氏によると、WHOの専門家が検査に参加できるよう、サンプルはスイスのジュネーブか他の中立地に持ち込まれる可能性がある。

シャフナー氏によると、サンプルに関して問題となりうるのは2点。第一に問題となるのは血液サンプルの完全性で、サンプルが最近つくられたものではないことを確認する必要がある。また、献血者がどの程度、人口全体を代表しているかも問題となる。ミラー氏によると、多くのサンプルは健康な人から収集された可能性が高いため、無症状の症例のものとみられるという。

武漢の血液サンプル、中国が検査へ コロナ起源の調査で

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