ワクチン突破の「ブレークスルー感染」、五輪出場の米選手も

新型コロナウイルスワクチンを接種したにもかかわらず陽性反応が出る「ブレークスルー感染」の症例が一部で出ている/Mario Tama/Getty Images

2021.07.20 Tue posted at 14:55 JST

(CNN) 米全土で新型コロナウイルスの症例数が再び増加に転じる中で、ごくまれに、ワクチンを接種したにもかかわらず陽性反応が出る「ブレークスルー感染」の症例に注目が集まっている。

米フロリダ州選出のバーン・ブキャナン下院議員は19日、ワクチンを接種した後に検査で陽性反応が出たと発表した。ワクチン接種を完了した芸能ジャーナリストのキャット・サドラー氏は、未接種の人を看護した後に具合が悪くなったといい、インスタグラムの投稿で「警戒を緩めてはいけない」と数十万のフォロワーに呼びかけた。

15日には米大リーグのニューヨーク・ヤンキースの選手6人に陽性反応が出た。同チームでブレークスルー感染が起きたのはこれで2度目だった。

ブレークスルー感染は東京オリンピック(五輪)でも浮上している。ワクチン接種を受けていた陸上競技米代表チーム補欠のカラ・イーカー選手は18日に陽性と判定された。父親が19日、CNN提携局のKMBCに確認した。バスケットボールのケイティ・ルー・サミュエルソン選手も自身のインスタグラムで、東京オリンピックに出場できなくなったと告白した。

ブレークスルー感染の数は減らすことができる。しかしそのためには地域ぐるみの対策強化が求められる。

米疾病対策センター(CDC)によると、ワクチン接種を完了してから14日目以降に陽性と判定された症例はブレークスルー感染に分類される。

ファイザーとモデルナのワクチンは2回、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)のワクチンは1回の接種で完了とみなされる。

ブレークスルー感染は症状を伴うこともあれば、無症状の場合もある。研究では、ワクチン接種後に感染したとしても、一般的に症状は軽くなることが示されている。

米国内の軽症または無症状のブレークスルー感染者の数は分かっていない。CDCは5月に集計を中止していた。

ブレークスルー感染の可能性が高い人を示すような特異なパターンは見つかっていない

一方、ブレークスルー感染者の入院数および死者数は今も集計を続けている。それによると、7月12日時点で、新型コロナウイルスワクチンの接種後にブレークスルー感染して入院または死亡した患者は5492人。ワクチン接種を完了した1億5900万人あまりの中では少数にとどまる。

こうした数字から感染率についての確固たる結論を出すのは困難だが、実際の症例数はもっと多いはずだとCDCは推測する。調査データは任意の報告に基づいており、完全でもなければ感染者の総数を表すものでもない。

ビベック・マーシー米医務総監は18日、CNNの取材に対し、現在、新型コロナウイルスによる米国の死者の99.5%はワクチンを接種していない人が占めていると語った。

CDCは、ブレークスルー感染の可能性が高い人を特定するために経過観察を続けているが、これまでのところ、特異なパターンは見つかっていない。

CDCによると、全土でワクチンを完全接種した人は米国の人口の50%に満たない。

CDCのロシェル・ワレンスキー所長は16日、「ワクチンを接種しなければ、引き続きリスクにさらされる」と訴え、「これはワクチン未接種者のパンデミックになりつつある」とした。

マーシー医務総監は18日、ブレークスルー感染はあったとしてもごく少数に限られ、症状も軽症か無症状のことが多いと強調。自身もワクチン未接種の人が多い地域では、念のために屋内ではマスクを着用すると話している。

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