スタンディングデスクの効用、その科学的根拠は?

座らずに立って仕事をすることの健康上のメリットとは/Shutterstock

2018.10.12 Fri posted at 17:00 JST

(CNN) 長時間いすに座り続ける生活は、喫煙と同じくらい体に悪いといわれている。そこで立った姿勢のまま作業ができる「スタンディングデスク」が注目されているが、果たしてその効用に科学的な根拠はあるのだろうか。

フィンランド労働衛生研究所(FIOH)は2016年に、スタンディングデスクの使用に関する過去20件、対象者計2000人以上の研究を統合し、分析した結果を発表した。

それによると、各研究に手法や規模の問題があり、スタンディングデスクや、ランニングマシンを取り付けた「トレッドミルデスク」の長期的な健康効果を裏付ける証拠はほとんどないことが分かったという。

スタンディングデスクを使えばいすに座っている状態に比べ、2倍のカロリーを消費するという説もある。しかし米ハーバード大学の研究で、1時間立ち続けた場合と座り続けた場合に消費するエネルギー量の差は、わずか8キロカロリーにすぎないことが明らかになった。

長時間座っているだけでなく、立ち続けるのも健康には悪い。米疫学ジャーナル(AJE)に昨年発表された研究は、7000人以上を12年間追跡した調査の結果、立った姿勢で仕事をする人は座って働く人に比べ、心臓病のリスクが倍増すると結論付けた。

立っている時間が長いと脊椎(せきつい)に負担がかかり、足や足首がむくんでしまう。心臓は重力に逆らって、下半身の血液を循環させなければならない。静脈瘤(りゅう)や静脈血栓症のリスクが高くなる。

座ったり立ったりを繰り返し、絶えず姿勢を切り替えるのが有効との意見も

専門家らは、1日中座り続けたり、立ち続けたりするのではなく、ひんぱんに動き回ることを勧めている。1日1時間運動すれば、座り続けることによる害は打ち消されるとの報告もある。16年のある研究では、1時間ごとに5分間歩いたりジョギングをしたりすると、気分の落ち込みや、夜に襲う強い空腹感を抑えられることが明らかになった。

1時間ごとに2分歩くだけで、早死にするリスクは3分の1に下がるとされる。米スタンフォード大学のチームは14年、歩くことによって創造力が6割も増すとの研究結果を発表した。

米コーネル大学の研究によれば、座る場合は背もたれを135度の角度にするのがいいという。怠けているように見えるかもしれないが、仕事中は足を高くして背中を倒した姿勢がベストかもしれない。腰への負担が軽くなり、むくみも防止できる。

部屋のあちこちに座る場所を設けて、絶えず姿勢を切り替えるという方法もある。

重要なのは、行儀よく席に着いていなければならないという発想から抜け出すことだ。もじもじしたりもたれかかったり、気が向いた時は腕立てポーズになったりすると、体は喜ぶに違いない。

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