(CNN) ノルウェーの警察は、北部の小さな町テュスフィヨールで、151件の性的暴行事件を摘発したと発表した。
テュスフィヨールは人口わずか2000人の小さな自治体。警察の28日の発表によると、事件は1953年から今年8月にかけて発生した。151件のうち43件は強姦事件で、うち3件は子どもが被害者だった。40の事件では、容疑者が14歳未満の子どもと性的関係をもったとされる。
被害者82人のうち、最年少は4歳の子どもだった。容疑者92人の年齢は10~80歳。
容疑者も被害者も、ほとんどが「サーミ(旧ラップ)」と呼ばれる少数民族の関係者だった。サーミはスカンジナビア半島北部に数千年前からすむ遊牧民を祖先とする。
事件に関与したとされる人物の多くは、キリスト教保守系ルーテル復活派のレスタディウス派の教会に属していた。
警察は、昨年6月の地元紙の報道をきっかけとして捜査に乗り出した。事件の背景に民族や宗教が絡んでいた形跡はないとしながらも、サーミでは家族の絆や連帯感が強く、それが「事件についての沈黙を守らせる仕組み」として作用したと見ている。
サーミの警察に対する根強い不信感も、事件が長年にわたって隠されてきた一因となった。サーミ権利団体の代表によれば、サーミの人たちはかつて、「良きノルウェー人となって、自分たちの文化や言語を捨てるよう」促されてきたという。
今ではテュスフィヨールの住民の間にも、「警察は自分たちを助けてくれる」という認識が広まりつつあるものの、信頼関係の構築には時間がかかると同代表は話している。