南部での予備選控え共和党討論会、険悪ムードの非難合戦

サウスカロライナ州で共和党候補者による討論会が行われた=CBS

2016.02.15 Mon posted at 12:06 JST

サウスカロライナ州グリーンビル(CNN) 米大統領選に向けた共和党候補指名争いは、南部サウスカロライナ州での予備選を20日に控え、同州でCBSニュース主催の候補者討論会が開かれた。

13日に行われた討論会では、連邦最高裁の保守派判事、アントニン・スカリア氏が急逝したとの知らせを受け、黙とうとともに討論会が始まった。

参加した候補者6人は当初、口をそろえてスカリア氏の業績をたたえ、後任は民主党のオバマ現大統領でなく次期大統領が任命するべきだと主張した。

世論調査で首位を走る実業家ドナルド・トランプ氏は、オバマ大統領はいずれにしても後任を指名するだろうとしたうえで、上院での承認を阻止するために共和党重鎮のマコネル院内総務らが審議を遅らせる作戦をとるべきだと力説した。

「非主流派」候補の座をトランプ氏と争うテッド・クルーズ上院議員も、スカリア氏の後任にリベラル派が任命されれば最高裁判事の比率が逆転し、人工妊娠中絶などに関する重要な判断に影響が出ると危機感を示した。

移民問題も議題にのぼった

しかしその後、候補者らは約2時間にわたり、移民問題や外交、ブッシュ前大統領の評価などをめぐって激しく衝突。非難と個人攻撃の応酬を展開した。

クルーズ氏は移民制度改革についての方針を問われ、ルビオ氏がかつて民主党重鎮らとともに不法移民に市民権を与える措置を立案していたと批判した。これに対してルビオ氏は、クルーズ氏が「うそを広めている」と反発した。

続いてトランプ氏も、クルーズ氏はアイオワ州党員集会で元神経外科医ベン・カーソン氏が指名争いから撤退するとの虚偽情報を流したと述べ、同氏を「最大のうそつき」と非難した。トランプ氏はさらに、クルーズ陣営がサウスカロライナで有権者に「トランプ氏は当州で参戦していない」と訴える電話作戦を展開しているとも主張した。

これに対してクルーズ氏はトランプ氏を「偽善者」と呼び、同氏こそ選挙戦の序盤でカーソン氏を「病的」などと評していたと指摘した。

ニューハンプシャー州の予備選ではトランプ氏が勝利した

討論会の檀上にはカーソン氏本人も立っていたが、こうした非難合戦には加わらないとの立場を貫いた。ただ同氏自身の選挙戦は最近、失速が指摘されている。

ジョン・ケーシック・オハイオ州知事もまた、「有権者は中傷合戦にうんざりし、団結を望んでいる。私はこの争いに入りたくない」と明言した。穏健派のケーシック氏は先週、ニューハンプシャー州の予備選で2位につけたが、同州に比べて保守色の強いサウスカロライナでは苦戦が予想される。

トランプ氏はまた、ブッシュ前大統領の対イラク開戦を「とんでもない大間違い」だったと批判した。これに対しては前大統領の弟、ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事が、前大統領は米国の安全を守ったと強い調子で言い返した。

トランプ氏が続いて、2001年の米同時多発テロもブッシュ前政権下で起きたと指摘すると、会場からは大きなブーイングの声が上がった。

サウスカロライナは有権者に現役や退役後の軍人が多く、ブッシュ前大統領の人気も高い。イラク戦争に対するトランプ氏の批判は、かえって反発を招いた可能性がある。

120秒で振り返る、SC州の共和党討論会

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