米・キューバ、国交正常化へ 半世紀ぶり

キューバ政策の転換について説明するオバマ米大統領

2014.12.18 Thu posted at 09:56 JST

ワシントン(CNN) オバマ米大統領は17日、これまで50年にわたって国交を断絶してきたキューバとの国交正常化に乗り出すと発表した。両国はカナダやローマ法王フランシスコの仲介で、2013年から舞台裏の交渉を続けていた。ただ、野党共和党からは反発の声もあがっている。

オバマ大統領は17日の演説で、「キューバ国民と米国民、そして全半球と世界のために、米国は過去の足かせを緩めることを選ぶ」と表明した。

キューバのラウル・カストロ国家評議会議長もオバマ大統領の発表に合わせてキューバで演説し、「オバマ大統領の発表は尊敬と評価に値する。ローマ法王庁の力添え、特にキューバと米国の関係改善に向けたフランシスコ法王の力添えに感謝したい」と語った。

オバマ大統領は、国交回復に向けたキューバとの対話を直ちに始めるようケリー国務長官に指示するとともに、キューバの首都ハバナの米大使館を再開すると表明。ケネディ政権時代から続いてきた渡航禁止や禁輸措置も緩和すると述べ、「厳格な政策は私たちのほとんどが生まれる前に起きた出来事に根差すもので、米国人のためにもキューバ人のためにもなっていない」と指摘した。

釈放され帰国したアラン・グロス氏=17日、ホワイトハウス提供

両国の親善の証しとして、2009年以来キューバで拘束されていた米国人のアラン・グロス氏は同日午前、「人道的」見地から釈放された。また、20年にわたって拘束されていた米情報要員も、キューバのスパイとして服役していた3人と引き換えに釈放された。

オバマ大統領とカストロ議長は発表前日の16日、1時間にわたって電話で会談していた。両国の首脳レベルの電話会談は、キューバ革命以来となる。

米国務省はキューバをテロ支援国家に指定しているが、オバマ大統領はこの指定を見直すようケリー長官に指示したことも明らかにした。

当局者によると、外交関係が復活すれば、米国人のキューバへの渡航やキューバとの取引もしやすくなる。ただし観光目的での渡航は認められない見通しだという。

ただ、来年1月から始まる米国議会で多数を制する野党共和党が反発するのは必至だ。

ローマ法王フランシスコ。米国とキューバの国交正常化を促したという

マルコ・ルビオ上院議員(共和党)は、あらゆる権限を行使してキューバへの米大使派遣を阻止すると断言。経済制裁の緩和も「理解できない」と批判した。

50年にわたって続いてきた国交断絶を正式に終わらせるためには議会の承認が必要だが、ホワイトハウスは一部権限を行使して貿易や渡航の制限緩和を打ち出した。オバマ大統領は「誠実かつ真摯(しんし)な対話で議会に臨む」と話している。

キューバは米国から名簿を提示された政治犯53人の釈放にも同意したほか、市民によるインターネット利用の解禁や、赤十字国際委員会と国連人権保護担当官の受け入れも表明した。

米国とキューバの交渉は、カナダとローマ法王庁の仲介で2013年6月から始まった。フランシスコ法王は手紙や会談でオバマ大統領に対し、キューバとの国交正常化に向けた対話再開を働きかけていた。

米・キューバ、国交正常化へ

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