壊滅状態のバハマ、再建進まず がれきと化した被災地に次のハリケーンシーズン迫る
(CNN) 昨年9月、ハリケーン「ドリアン」に直撃され壊滅的な被害が出たカリブ海の島国バハマ。5カ月たった今もがれきと化したまま復興が手つかずの被災地もあり、今年のハリケーンシーズンが迫る中で、支援団体などが再建を急いでいる。
最も大きな被害が出たアバコ諸島では、マーシュハーバー地区で作業員やボランティアの仮設住宅ができ、屋根の修理や道路の修復が行われるなど、復興の兆しも見え始めた。
しかしそれ以外の地区は、野良犬のほかに生き物の影はなくひっそりと静まり返り、遠くから聞こえるチェーンソーやハンマーの音だけが静寂を突き破る。
公共サービスの復旧も遅れている。バハマ災害復旧当局は、「アバコの電力は夏の初めまでには完全復旧を見込んでいる」と説明した。
ハリケーンシーズンが迫り、復興の緊急性は増しているが、作業のための人手は足りない状態が続く。
支援団体によると、島の住宅の多くが破壊されたため、住民のほとんどは島外へ避難した。今も住む家がないことから、避難した住民の大半は帰還できていない。「我々は何千人ものボランティアを必要としている。大量の人出が必要だが、労働力不足のために復興が進まない」と担当者は言う。
各国のボランティアは被災した学校内の仮設宿舎に寝泊まりする/
各国から集まったボランティアは、マーシュハーバー地区で被災した学校内に設置された仮設の宿舎に寝泊まりしている。
バハマ政府は住民の帰還を支援するため、ドーム型の仮設住宅の設置作業を進めている。
夏のハリケーンシーズン到来まであと数カ月。道路上に放置されたままのがれきの山は、突風に吹き飛ばされれば人命を危険にさらしかねない。
車両や船、がれきの山が道路わきに打ち捨てられたままとなっている/
グランドバハマ島も、およそ6メートルの高波で島の大部分が浸水し、住宅4200棟あまりが水につかる被害に見舞われた。
赤十字の担当者は、「そうした住宅の一部はまだ建っていたとしても、安全に住むことはできない」「ここでも長期的な避難所が必要とされている」と話す。
飲料水の不足も深刻だ。バハマ災害対策当局によると、グランドバハマ島で供給される水は、高波の影響で塩分濃度が極端に上昇。現時点で全世帯の65%に被害が及んでいるという。「3月までにはこの数字は大幅に減り、夏の終わりまでには完全になくなる」と当局は見込む。
一方、電力はグランドバハマ島のほぼ全域で復旧した。
グランドバハマ島でもアバコ諸島でも学校はその大半が甚大な被害を受けた/
それでも島のインフラや経済活動に与えた影響は甚大だ。失業率は高止まりし、インフラが破壊されたために本格的な復興に向けた活動が難しくなっている。
「今はただ飲料水を受け取るためだけでも、がれきの間を縫って歩かなければならない。日常的に直面する課題が、復興や再建を難しくしている」「被害の規模はあまりに大きく、復興には長い時間がかかる。バハマ単独ではできない」と赤十字の担当者は語る。
学校は、グランドバハマ島でもアバコ諸島でも大半が損壊し、授業が再開されるのは秋になる見通しだ。
ハリケーン直後に現地入りした国際支援団体の多くは今も被災地に残り、復興支援活動を続けるための寄付を募っている。