トランプ氏、ペンシルベニア州での選挙不正の懸念煽る 郡は「調査中」
(CNN) 米大統領選の共和党候補、トランプ前大統領は29日、激戦州ペンシルベニア州の二つの郡で投票不正が起きていると主張した。ただ両郡の当局者は、有権者の登録申請を巡って問題が起きた可能性について現在もなお調査中だとしている。
選挙まで1週間となり、トランプ氏と共和党全国委員会(RNC)は同氏が敗れた場合、投票結果に異議を唱える下準備を行っているようだ。トランプ氏はヨーク郡とランカスター郡による調査結果を待たず、ソーシャルメディア上で有権者登録申請にまつわる不正の疑いについての不安をかき立てた。
ペンシルベニア州の州務長官は人々に調査結果を待つよう求めていたが、それに応じなかった形だ。
また別の事例で、RNCはトランプ陣営に同調し「投票者への抑制」が行われていると訴えた。選挙当局者らはこれに反論している。
トランプ氏は29日、X(旧ツイッター)への投稿で、ヨーク郡が不正の可能性のある有権者登録票と郵便投票申請票を第三者のグループから「数千件」受け取ったと主張した。この投稿の閲覧回数はわずか2~3時間で100万回を超えた。
トランプ氏はまた、ランカスター郡でも偽の投票や登録票2600通の存在が発覚していると指摘。それらは全て同じ人物が書いているとした上で、法執行機関が即座に対応しなくてはならない事案だと続けた。
一方、州と郡の当局者は有権者を安心させるべく、郵便投票の過程で発生したとみられるあらゆる問題について調査中だと説明。初期段階での投票の公正性を確保しようとしていると述べた。
先週、ランカスター郡の法執行機関と選挙当局者は「有権者登録の不正が疑われる事象」を検知したと発表した。超党派の選管と郡検察によれば、同じ筆跡による複数の申請や、誤った住所の記載を伴う申請が大規模に行われていた可能性があるという。
当局者らは約2500通の有権者登録票が調査対象だとしているが、このうち何通で不正が判明したのかは明らかにしていない。また少なくとも他の2郡にも、不正な有権者登録申請が届いていた可能性があると述べた。
ヨーク郡の報道官は29日、不正な有権者登録申請を受けたのかどうかCNNに確認しなかった。ランカスター郡で疑われている問題との関係も口にはしなかった。
ヨーク郡郡政委員トップのジュリー・ウィーラー氏は声明で、記入済みの有権者登録及び郵便投票申請を含む選挙関連の書類数千件を第三者機関から郡で受け取ったと述べた。現在郡の職員によって提出書類の合法性を確認する作業が行われており、不正の疑いが認められれば検察に通知する段取りになっているとした。
一方、デラウェア郡では、「投票者への抑制」があったとするトランプ陣営とRNCからの主張に当局者が反論した。
RNCのワトリー委員長は28日、手錠をかけられた女性の動画をXに共有。「トランプ大統領の支持者が今日、逮捕された。人々に期日前投票の列に残って自由に投票するよう呼び掛けたという理由で。ペンシルベニア州での出来事だ」と記した。
「これは左派による投票者への抑制だ。彼らに追い返されてはならない」(ワトリー氏)
郡の報道官の声明によると、女性が投票場所から退去させられたのは、当時女性が破壊的かつ好戦的な態度で列に並ぶ有権者に影響を及ぼそうとしていたとの目撃情報が多数寄せられたからだという。
ペンシルベニア州の州務省によれば、拘束された女性は今回共和党の認証を受けた選挙人の一人、バル・ビアンカニエロ氏と見られる。CNNは同氏にコメントを求めている。
この件の後、ビアンカニエロ氏はXへの投稿で、一切の法を犯していないにもかかわらず逮捕されたと主張。列に並んでいるように人々を説得したのは、民主党員が有権者に対し、本人によるこの日の投票をさせないよう呼び掛けていたからだと訴えた。
デラウェア郡検察はCNNの取材に答え、ビアンカニエロ氏を「短時間拘束した」ことを確認した。同氏はこの後、「秩序を乱す行為に対する召喚状を受け取る見通し」だという。これは交通違反切符と同じ、略式起訴犯罪の扱いを意味する。