1978年に見つかった頭蓋骨、150年以上前に死亡した10代女性と特定 米
(CNN) 45年以上前、米シカゴ郊外での住宅改修中に見つかった19世紀の10代女性の頭蓋骨(ずがいこつ)について、このほど女性の氏名がようやく明らかになった。DNA技術の進展が寄与した。
イリノイ州ケーン郡の検視局は24日、当該の女性の氏名をエスター・グレンジャーさんと特定した。グレンジャーさんの頭蓋骨は1978年に発見されたが、本人が死亡したのは今から150年以上前だった。
グレンジャーさんは1848年10月にインディアナ州で生まれた。66年の死亡時の年齢はわずか17歳だった。死因は出産時の合併症だと当局者らはみている。ケーン郡のロバート・ラッセル検視官が24日の会見で明らかにした。
グレンジャーさんの遺体はインディアナ州メリルビルに埋葬されたが、頭蓋骨が見つかったのは約130キロ北西のイリノイ州バタビアの住宅だった。
1978年、自宅を改修中に壁の中で頭蓋骨を発見した住人は警察に連絡。公的機関による調査が始まった。
ただ当時のDNA鑑定では、頭蓋骨が20代らしき若い女性のものであること、女性は20世紀より前に生きていた人物だということしか分からなかった。
この件はそのまま迷宮入りとなり、頭蓋骨は地元の博物館に保管された。
時代は下って2021年3月、博物館の職員が清掃中にたまたま頭蓋骨を見つけたのをきっかけに、警察による調査が再開した。
検視技術と法医学的遺伝子系図学が発達していたおかげで、今回の調査ではDNAの証拠採取で大きな進展がみられた。
23年、ケーン郡当局から連絡を受けたテキサス州の企業オトラムは女性のDNA鑑定を行い、家系図の調査などから存命の親族の所在を突き止めた。
グレンジャーさんの玄孫(やしゃご)にあたるウェイン・スビラーさん(69)は、24日の会見に出席。今年4月に当局から連絡を受けたものの最初は信じることが出来ず、2~3回電話で説明されてようやく信用したと振り返った。
スビラーさんはオレゴン州ポートランドに住む退職警官だが、自身の祖先の身元確認プロセスに関わった後、最近同州マルトノマ郡検事局に職を得た。現在は迷宮入り事件を扱う仕事をしているという。
グレンジャーさんの頭蓋骨が埋葬地から約130キロ移動した経緯について、当局は確かな答えを得ていないが、墓荒らしの被害に遭ったとの見方を示している。頭蓋骨以外の遺骨の所在は明らかになっていない。
当局によると墓荒らしは、掘り出した遺体を医学研究用の素材として売っていた可能性があるという。
グレンジャーさんの頭蓋骨は、バタビアの墓地に改めて埋葬された。