ロシア、新たな対宇宙兵器を低軌道に最近投入か 米衛星近くに

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国連安保理で発言する米国のウッド国連代理大使/Eduardo Munoz/Reuters

国連安保理で発言する米国のウッド国連代理大使/Eduardo Munoz/Reuters

(CNN) 米国のウッド国連代理大使は23日までに、ロシアが今月16日、他の衛星への攻撃能力がある新型の宇宙兵器を搭載した衛星を低軌道へ打ち上げた可能性があるとの分析結果を示した。

国連で発表した。米政府の衛星が近くで周回する軌道に投入されたという。同大使によると、ロシアによる衛星の無力化あるいは破壊を狙う対宇宙兵器とみられるものの配備は2019年に続き、22年が最後となっていた。

安保理では今月20日、ロシアが提出した宇宙空間における安全保障構築に関する決議案の採決が実施された。ウッド大使の発言はこの採決前だった。決議は米国が反対し、否決された。

米国防総省のライダー報道官は17日、米国はこの新たな衛星の搭載物は19年と22年のものと特徴が似ているとの評価結果に言及。同代理大使は16日の発射は「問題を引き起こす」ものであり、宇宙空間での安全保障を希求するとするロシアの主張を損ねるものだと反論した。

米政府当局者はCNNの取材に、16日の発射については少なくとも過去数週間予知していたと指摘。米国防総省当局者は、北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)と米北方軍が発射された後に追跡したと明かした。

ロシアは今月16日をにらんだ少なくとも2件の航空情報を内外に流していた。新たな衛星打ち上げへの準備とみられ、一つは発射自体、残る一つはメキシコ・カリフォルニア半島沖合上空でのロケット噴射装置の大気圏内への再突入に関するものだった。

サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は今年4月下旬、「前にも触れたが、ロシアは核を積んだ新たな衛星を開発していると米政府は評価している」との声明を発表。同月に日米両国が合同で国連加盟国に宇宙を拠点にした核兵器開発の停止を促す決議案を出し、ロシアが拒否権を発動して葬ったことを受けた声明だった。

同補佐官は「ロシアのプーチン大統領は公に同国は宇宙に核兵器を配備する意図はないと述べたことを聞いている。この発言内容が正しいのなら、拒否権を行使しなかったはずだろう」とも述べていた。

バイデン政権当局者は、ロシアの宇宙兵器は開発中の段階であり、軌道にはまだ投入されていないとの見方を公式に表明している。その上で、「仮に使われたとするなら、核兵器史上、危険なルビコン川を渡ることになる」との危機感も示していた。

核を利用した宇宙兵器が大規模なエネルギー波を創出して衛星を破壊すれば、広範な商業衛星や各国政府の衛星の機能が麻痺(まひ)する可能性も出てくる。地上での携帯電話通信、料金支払いやインターネット検索などへの悪影響も予想される。

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