アフガンでアルカイダ復活「まずなし」、ISISは脅威 米分析

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タリバンとの戦闘で破壊され、金属の廃材として売られる米軍車両=カンダハル/Rodrigo Abd/AP

タリバンとの戦闘で破壊され、金属の廃材として売られる米軍車両=カンダハル/Rodrigo Abd/AP

(CNN) 国際テロ組織「アルカイダ」がアフガニスタンやパキスタンで以前のような規模の勢力を復活させる可能性は「乏しい」とする、新たな分析を米情報機関がまとめていたことが16日までにわかった。

米政府高官の2人が明らかにした。アフガンで復権したイスラム主義勢力「タリバン」による対テロ作戦の圧力もあり、過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」のアフガン内での拠点も弱体化していると指摘した。

高官はアフガンにおけるテロ組織の現状に関する記者団への背景説明で、米軍が2021年8月に同国から完全撤収したものの、勢力が総じて衰退していることを示唆。

ISISについてはアフガン内で人目を引く標的への攻撃を続けていると説明。アフガン内の支部「ISISホラサン」は、タリバンが再び実権を握った21年以降、数十人規模の民間人を死傷させているとした。

これらの殺傷はタリバンの統治を損ね、治安維持への国民の安心感をそぐ企ての一環とした。22年末から翌年初めにかけてはパキスタンとロシアの両国大使館や中国の企業関係者が使うホテルも襲撃。空軍敷地内での爆発も起こした。

高官の1人は、ホラサンは海外でのテロ実行の恐れから言えば、間違いなく懸念を抱かせる脅威と説明。その上で「この脅威は2001年の米同時多発テロの際にアルカイダに向けられたものとは根本的に異質の種類」ともつけ加えた。

米諜報(ちょうほう)によると、ホラサンはタリバンによる強い締め付けを受け、主要な指導者の多数がここ数カ月で出国した。海外での作戦遂行を支える宣伝、活動促進や新規構成員の勧誘活動に関与するメンバーの近隣諸国への移動が増えているともした。

一方、アルカイダの脅威の程度についてはここ数十年間で最低の水準にあると述べた。「アフガンやパキスタンでの勢力規模は歴史的な経緯を踏まえても最悪な状態にあるとし、復活の可能性は少ない」とも断じた。「両国を拠点にして米国へ脅威を及ぼす能力はおそらく、過去数十年で最低」とも見立てた。

アルカイダの組織としての退潮は、少なくとも米軍という主要な攻撃対象の一つを失ったことが一因とも主張。米軍のアフガンからの撤収は、戦闘員や工作員を訓練する「実戦の場」を失ったことになるともした。

米国は昨年8月、アルカイダ最高指導者のザワヒリ容疑者をドローン(無人機)攻撃で殺害。これ以降、同組織は「指導者たり得る人材」や「戦略的な指導方針」に欠けたままの内情が続くとした。ザワヒリ容疑者はアフガンの首都カブールの隠れ家にいて攻撃を受けたが、タリバンは当時、首都内に潜んでいたことは知らなかったとの立場を示していた。

アフガンからの米軍撤退後、米政府は諜報収集に必要な資源の優先的な振り向け先をアフガンなどでの対テロ作戦から中国とロシアに変えた。南アジア地域に根差すテロの脅威の追跡については「海外からの監視能力」で対応するとの説得力を強めることにも腐心している。

ただ、一部の米政府当局者は、諜報収集の手段の方途は中東や南アジアから移しており、バイデン政権は統治不能な状況にあるシリアや他の場所で残存するISIS勢力による脅威の把握に手間取る可能性もあるとした。

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