トランプ氏、スパイ法違反など7つの罪状で起訴 機密文書巡る捜査

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トランプ前米大統領/Drew Angerer/Getty Images

トランプ前米大統領/Drew Angerer/Getty Images

(CNN) トランプ前大統領の機密文書の扱いを巡る捜査で、連邦法違反の疑いでトランプ氏が起訴された7つの罪状には、スパイ法違反や司法妨害などが含まれていることがわかった。トランプ氏の弁護士が8日、CNNに明らかにした。

弁護士のジム・トラスティー氏によると、他に記録の破壊または改ざん、共謀の罪にも問われているという。

司法長官が任命した特別検察官は、トランプ氏の大統領退任後にフロリダ州にある自宅「マール・ア・ラーゴ」に持ち込まれた機密文書について、トランプ氏による取り扱いを巡って捜査を進めていた。捜査や文書回収の妨害を図った疑いについても調べていた。

トラスティー氏によると、弁護士らは8日、司法省から電子メールで罪状の記載のある召喚状を受け取ったが、起訴状はまだ見ていないという。

法執行当局者によると、シークレットサービス(大統領警護隊)や連邦保安官は事前に通知を受けておらず、驚いた様子だったという。

特別検察官や司法省は声明を発表していない。ホワイトハウスもコメントを控えた。

「私は無実の男」

トランプ氏はこれまで特別検察官による捜査を含む自身に対する捜査を激しく非難。捜査官らは政治的に自分を抑え込もうとしているが、どんな起訴を受けても自分の2024年大統領選の選挙活動が止まることはないと主張していた。

トランプ氏は8日夜に4分間の動画を公表し、司法省が武器に使われ、自分に対する捜査が「選挙干渉」に当たるなどといった従来の主張を繰り返した。「私は無実の男だ。悪いことは何もしていない」とも述べた。

トランプ氏支持の議員らが相次ぎ擁護

トランプ氏を支持する議員からはソーシャルメディアに同氏を擁護する投稿が相次いだ。

マッカーシー下院議長はツイッターに「米国の暗黒の日」になったと投稿。「ある大統領が筆頭対抗馬の候補者を起訴するなど論外だ。ジョー・バイデンは数十年も機密文書を保持していた」と記した。

下院司法委員会委員長でオハイオ州選出のジム・ジョーダン議員は「米国にとって悲しい日。トランプ氏に神のご加護を」とツイートした。

トランプ氏の起訴で大統領選の共和党予備選は再びトランプ氏一色になるとみられる。起訴前にはペンス前副大統領を含む複数の候補者が、司法省はトランプ氏を起訴すべきではないとの見解を示していた。

ただ、候補者の一人、エイサ・ハッチンソン氏は8日の起訴後に「トランプ氏は推定無罪だが、刑事捜査が続く状況は(選挙の)大きな妨げになる」と述べ、トランプ氏が選挙戦から身を引くべき理由になるとの見方を示した。

トランプ氏の大統領在任中に同氏の弾劾(だんがい)訴追を進めた民主党議員からは、法の支配の上に存在する者はいないことが示されたとの声が上がった。

下院で弾劾訴追を主導した民主党のアダム・シフ議員は、今回の起訴は「法の支配の新たな確認になる」と述べ、「彼は法を破った他の者と同様に扱われるべきであり、今日そうなっている」と続けた。

発見された機密文書

連邦捜査局(FBI)の捜査官は22年8月、マール・ア・ラーゴに家宅捜索に入り、機密指定の文書約100点を含む数千点の文書を押収した。FBIはトランプ氏一族の中核企業「トランプ・オーガニゼーション」にも監視カメラの映像提出を求めた。

裁判所への提出書類によれば、検察は国家安全保障にかかわる情報の誤った取り扱いや司法妨害を追及していた。司法省は以前、機密文書はマール・ア・ラーゴの保管部屋から「隠され、持ち去られた可能性」が高く、FBIの捜査を妨害する目的があったと主張していた。

トランプ氏は同年1月、国立公文書館に15箱の資料を返却。その後司法省は5月になってトランプ氏に召喚状を出し、機密扱いの文書でマール・ア・ラーゴに残っているものを提出するよう求めた。

トランプ氏がその後起こした訴訟によれば、トランプ氏はスタッフに召喚状に従い残りの機密文書を探すように指示した。連邦捜査官は6月に入ってマール・ア・ラーゴから文書を回収。トランプ氏の弁護士はその後、保管エリアを探し、全ての機密文書の所在は説明されたとの見解を示した。

検察は8月になって、弁護士が保管エリアに入る前に一部の文書がそこから持ち出された可能性が高いとの認識を示した。

この数カ月、検察はトランプ氏の側近や、マール・ア・ラーゴ、トランプ・オーガニゼーションの従業員を含む数十人の証人から証言を得た。証人の多くは首都ワシントンの連邦大陪審で証言したが、ここ数週間はフロリダ州南部の連邦大陪審でも複数の証人が証言していた。

検察はトランプ氏が21年にニュージャージー州ベッドミンスターで開かれた会合で国防総省の機密文書について話している録音テープを入手。トランプ氏はその中で文書が依然機密扱いだと認めていた。同氏はこれまでマール・ア・ラーゴに持ち込んだ物はすべて機密解除されていると主張していた。

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