弾劾裁判2日目、検察官役が新映像公開 議事堂乱入の全体像示す

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

弾劾裁判2日目、検察官役が新映像公開

(CNN) 米議会乱入事件をめぐるトランプ前大統領の弾劾(だんがい)裁判で、下院の弾劾管理人(検察官に相当)は審理2日目の10日、乱入した暴徒が警官に暴行する様子をとらえた映像を公開した。暴徒が避難する議員やペンス前副大統領に危険なほど接近していた様子も示した。

弾劾管理人が示した映像には、これまで未公開だった監視カメラや首都警察のボディーカメラの映像、警察の無線指令の記録などが含まれていた。議事堂が制圧された全体像をこれまでで最も詳細に示す内容で、弾劾裁判で陪審役を務める上院議員を含め、議事堂内のあらゆる人に重大な脅威が及んでいたことも明らかになった。

映像には警官が暴徒に殴打される場面のほか、暴徒が議員のすぐそばまで迫っていた様子がとらえられている。暴徒が迫るなか、上院議員が議会警察に付き添われて避難する様子も確認できる。

今回の動画には、暴徒をあおった責任はトランプ氏にあるとする弾劾管理人の主張を強調する意図がある。暴徒は連邦議会がトランプ氏の選挙敗北を認定するのを阻止し、ペンス氏やペロシ下院議長を暗殺しようと試みていたと主張されている。

弾劾管理人の1人、ステイシー・プラスケット代議員(バージン諸島選出)は暴徒について「議会に大統領選の結果を認定させてはならないというトランプ氏の要請で乱入した」と説明。「ペンス副大統領は選挙結果を覆すことを求めるトランプ氏の要求を拒絶したため、大統領の支持者によって命を脅かされる事態となった」と述べた。

上院の議場では、与野党の議員が固唾(かたず)をのんで動画を見守った。弾劾管理人が議事堂の地図とともに事件のタイムラインを示すと、多くの議員はモニターをもっとよく見ようと身を乗り出した。共和党議員はほとんど感情を表に出さなかったものの、全員が映像を注視しており、動画から目を離すのはメモを取る時だけだった。

スーザン・コリンズ議員(メーン州)は上院議場内の様子について「極めて静かだった。ピンを落とす音でも聞こえただろう」と振り返った。

共和党議員は口々に今回のプレゼンを称賛。上院共和党ナンバー2のジョン・スーン議員(サウスダコタ州)は、弾劾管理人が「印象に残る仕事」をしたとの見方を示し、トランプ氏の発言から議会襲撃に至る「点と点をつなぐ」ことに成功したと述べた。

ただ、民主党側の主張にどれだけ説得力があったとしても、上院の共和党議員がトランプ氏への有罪評決を検討する兆しはない。

9日の採決では共和党議員50人のうち44人が、弾劾裁判は違憲との判断を示した。トランプ氏を無罪とする票を投じる場合、ほとんどの議員はこの点を防御に援用するとみられる。共和党のマイク・ラウンズ上院議員(サウスダコタ州選出)は、自身の考えを変えるとしたらどんな主張を民主党の管理人が行うべきかと問われ、「私の考えでは憲法の条文や論点に立ち戻る必要があると思う」と述べた。

テッド・クルーズ議員(テキサス州)は「弾劾管理人は犯罪者による恐ろしい暴力行為に焦点を当てることに大半の時間を割いた。しかし、大統領の発言は扇動の法的基準を満たすには程遠い」との見方を示した。

トランプ氏の弁護団による口頭弁論では、下院の弾劾管理人は議事堂襲撃の様子を再現することで「暴力を美化」したと主張するとみられている。

弁護団のブルース・キャスター弁護士は「知らなかったものは何もなかった。暴徒が議事堂に侵入し暴れまわったのは知っている。それをトランプ氏と結びつけるものを待っていたが、何もなかった」と述べた。

弾劾管理人は、トランプ氏が選挙の不正について述べた数カ月に及ぶ虚偽の発言と敗北を認めなかった点を議事堂の暴力と結び付けようとしている。

2日間に及ぶ弾劾管理人による冒頭陳述の後、トランプ氏の弁護団は12日から2日間、16時間の冒頭陳述の枠が与えられている。ただ、その枠を全て使うことはないと見られている。

その後は上院議員による書面での質問のために最大4時間が設定されている。また、弾劾管理人が証人に関する採決を求める可能性もあるが、実際に要請するかどうかは不透明な状況。

ケビン・クレイマー上院議員(ノースダコタ州選出)によると、共和党上院トップのマコネル院内総務は10日、党内の非公開の昼食会で裁判のスケジュールに触れ、13日夜にまでに裁判が終わる可能性が依然あるとの見方を示した。

トランプ氏に対する最終的な判断を下す採決の時期は民主党の証人要請等で変わる。だが、あらゆる兆候は裁判が今週末に終わる可能性を示している。

「トランプ氏弾劾裁判」のニュース

Video

Photo

注目ニュース

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]