米死者20万人に迫る CDC、エアロゾル感染めぐる改訂を撤回
(CNN) 米国内の半数以上の州で新型コロナウイルスの新規感染者が増え続け、死者は計20万人に迫っている。専門家らが情報の混乱を指摘するなか、米疾病対策センター(CDC)はエアロゾル感染の可能性を指摘した指針改訂を撤回した。
米ジョンズ・ホプキンス大学による21日時点の集計によると、全米50州のうち28州で新規感染者が前週より増え、減っているのはわずか6州。
検査の陽性率も、27州と自治領プエルトリコでは世界保健機関(WHO)が経済活動再開の基準とした5%のラインを上回っている。陽性率が1%未満にとどまっているのは、ニューヨークなど5州だけだ。
米ベイラー医科大のピーター・ホッテズ博士は、「残念ながら我々は破滅的な秋を迎えることになるかもしれない」と警告。その理由として、感染地域の学校が授業再開を強いられている現状や、全国民にマスク着用などの対策を呼び掛けるリーダーシップの不在を挙げた。
アラバマ大学バーミンガム校のジーン・マラッゾ博士も、市民に広がる「コロナ疲れ」や感染経路をめぐる情報の混乱が「破滅的な秋」につながる可能性を指摘する。
CDCは18日に新型ウイルスに関する指針を改訂し、感染者から発生する飛沫(ひまつ)のほか、空気中に長時間浮遊する微粒子「エアロゾル」を吸い込むことで感染する可能性があると警告した。
ホッテズ氏によれば、多くの医師らは数カ月前からこの可能性を認識し、マスク着用などを呼び掛けてきた。ところがCDCは21日午後になって、この改訂を取り下げた。
撤回の背後に「政治的圧力」があったのかと疑う声も上がったが、事情に詳しい連邦政府当局者はこれを否定。改訂はCDC内部で専門家らの十分な審査を受ける前に、誤って公表されたと説明した。改訂作業は現在も進行中だと述べる一方、最終版が出される時期には言及しなかった。
CDCの報道担当者もCNNへのメールで、改訂が草案の段階で誤って公式サイトに掲載されたと主張し、作業が完了した時点で改めて掲載する方針を示した。