米最高裁、中絶規制の州法に無効判決
ワシントン(CNN) 米連邦最高裁は27日、人工妊娠中絶を行うクリニックに厳格な規制を課していたテキサス州の州法を無効とする判決を言い渡した。中絶の権利支持派は判決を歓迎。規制推進派にとっては大きな打撃となりそうだ。
判決は5対3で州法の無効を支持し、対応が注目されていたアンソニー・ケネディ判事も中絶の権利支持派に回った。影響は他州にも波及し、中絶クリニックの閉鎖を狙った同じような法案の通過が阻まれる可能性もある。
スティーブン・ブレイヤー判事は多数意見の中で同法について、女性の健康を守るという名目で、現実には中絶を希望する女性に過度の負担を強いると認定。憲法上の権利行使に対する「不当な負担」に当たると指摘して、一審の判断を支持した。
ケネディ判事はこの判断を全面的に支持。ルース・ベイダー・ギンスバーグ判事も、「州が安全かつ合法的な処置へのアクセスを厳しく制限すれば、絶望的な状況に置かれた女性が無免許の悪質な医師にかかる可能性があり、健康と安全に著しい危険が及ぶ」と判断した。
連邦最高裁は2月に保守派のアントニン・スカリア判事が死去した後、オバマ大統領が提出した後任人事が共和党に阻まれたまま空席となっている。
しかし27日の判決で、たとえ共和党がスキャリア裁判官の後任を指名したとしても、妊娠中絶規制は判事5人の多数で退けられる可能性があることがはっきりした。11月の大統領選でもし民主党のヒラリー・クリントン氏が勝利すれば、中絶規制反対派はさらに増えるかもしれない。