(CNN) セレブのステータスシンボルとして世界で憧れの的になっているエルメスのバッグ「バーキン」。その原型となった初代バーキンが来月、フランスの首都パリで競売に掛けられる。
容量たっぷりのサドルステッチのハンドバッグは、2023年に亡くなった俳優で歌手のジェーン・バーキンに触発されたもの。競売会社サザビーズは5日の声明でこのバッグに触れ、来月10日に予定されるサザビーズの競売「ファッション・アイコンズ」の目玉になると説明した。
サザビーズによれば、「オリジナル・バーキン」と呼ばれる黒一色のレザーハンドバッグは、時代を超えて愛されるこの定番ラグジュアリーアイテムの初代バージョンで、約40年前にジェーン・バーキンと当時のエルメスのジャン・ルイ・デュマ最高経営責任者(CEO)が航空機内で偶然出会ったのをきっかけに考案された。
サザビーズのハンドバッグ・ファッション部門のグローバル責任者、モルガヌ・ハリミ氏は声明で「ファッション界には、ある物が流行を超えて伝説となるまれな瞬間がある。ジェーン・バーキンの初代バーキンバッグはそんな瞬間だ」と述べた。
ハリミ氏はこのバッグについて、故ダイアナ元妃の「黒羊」セーターや、英ロックスターのフレディ・マーキュリーの王冠とマントなど、「同じく輝かしい来歴を持つ逸品と肩を並べるものだ」との見方を示した。
「これらと同様、初代バーキンは記録を塗り替える可能性を秘めている」とも言い添えた。CNNはバッグの予想落札額を尋ねたものの、サザビーズは見積もりを示さなかった。

バッグはジェーン・バーキンによって触発された。バーキンはバッグを新品同様の状態に保つのではなく、使い倒したことで有名だ/Sotheby's
バーキン自身、このバッグがポップカルチャーの一大現象として大きな遺産となったことを認めていた。
バーキンが2020年にCNNのクリスティアン・アマンプール記者に語ったところによると、バッグが一躍有名になったことを受け、自分は出演映画やヒット曲「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」ではなく、このバッグで記憶されるかもしれないという思いを抱いたという。
「私が死んだら、(人々は)このバッグのことしか話題にしないかもしれない」とバーキンは冗談めかして語っていた。
バッグの誕生秘話は思いがけない出会いから始まる。
1984年のあるフライトで、バーキンはデュマ氏の隣に座ることになった。2人の間で会話が始まり、バーキンは「スーツケースの半分のサイズ」のバッグがほしいと伝えた。
「彼から『なら描いてみて』と言われたので、飛行機のエチケット袋――おう吐袋――にデザインを描いた」(バーキン)

バーキンのバッグは目の飛び出るような値段がメディアの見出しを飾ることで有名だ/Sotheby's
サザビーズの説明によると、初代バーキンはサイズや金属製のリング、真鍮(しんちゅう)の金具、ショルダーストラップ、ジッパー、底鋲(びょう)など七つの点で後続モデルとは異なる。
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原文タイトル:Jane Birkin’s original Hermès bag goes on sale(抄訳)