(CNN) オランダの美術館のエレベーターの技術者が、ビールの空き缶2本に似せて作られた芸術作品を誤って捨ててしまった。
リッセにあるLAM美術館は今月初め、声明で、フランスの芸術家アレクサンドル・ラベ氏の「All the good times we spent together」は一見、ごみのように見えるかもしれないが、よく見ると実際には「アクリル絵の具で丹念に手描きされ、細部まできめ細やかに再現された」作品だと述べた。
同美術館は「この芸術家にとって、これらの缶は親しい友人と共有した大切な思い出の象徴だ」「お酒を楽しみながら過ごす夜は、大きな物事の中ではささいなことのように思えるかもしれないが、最終的には貴重なつながりの瞬間を体現している」と付け加えた。
通常の技術者の代理で勤務していたという作業員はおそらくミスを許されるだろう。なぜなら、このビール缶は建設作業員が置き去りにしたかのようにガラス張りのエレベーターの中に展示されていたからだ。
この作品の配置は、美術館が「型破りな配置」と呼ぶ特徴的な展示の一部だった。
美術館の責任者、シーツケ・ファン・ザンテン氏は1日の声明で「当館のコレクションのテーマは食品と消費だ」と述べたが、この不運がいつ起こったかについては触れなかった。
美術館は、技術者に対して「怒りはない」と強調した。
ファン・ザンテン氏は「彼はただ誠意を持って仕事をしていただけ」であり、「ある意味、これはアレクサンドル・ラベのアートの有効性を証明している」と述べた。
缶はその後、二つとも無傷でゴミ袋から回収された。美術館は缶をきれいにしたうえで、入り口にある伝統的な台座に展示したという。
同美術館のキュレーターは「これらにスポットライトが当たる瞬間を与えたかった」と説明。作品を今後どこに展示するかはまだ決めていないが、「私たちは来場者を驚かせるのが好きなので、立ち入り禁止の場所はない」と語った。
現代アートには誤解や不運の歴史がある。
韓国ソウルの美術館では昨年、壁に粘着テープで貼られた芸術作品のバナナが、空腹の来訪者に食べられた。
このバナナはイタリアの芸術家、マウリツィオ・カテラン氏の「コメディアン」という有名な作品だ。2019年12月にアートバーゼル・マイアミビーチで12万ドルで売れ、話題を呼んだ。
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原文タイトル:Museum’s beer can artwork accidentally thrown in trash by staff member(抄訳)