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独美術館の従業員、自作を展示して解雇に

ピナコテーク・デア・モデルネ美術館=2021年5月、ドイツ・ミュンヘン

ピナコテーク・デア・モデルネ美術館=2021年5月、ドイツ・ミュンヘン/Hannes Magerstaedt/Getty Images

(CNN) 自分の作品を有名な美術館に飾るという夢をほんの一瞬実現したドイツ人の男がいた。

しかし、この野心ある芸術家の離れ業はかえって雇い主と、さらには警察との大問題を引き起こし、チャンスへの期待はわずか数時間で消え失せた。

独タブロイド紙「南ドイツ新聞」や独ミュンヘン警察によると、51歳の展示技術者で自称「フリーランス芸術家」は2月26日、ミュンヘンにあるピナコテーク・デア・モデルネ美術館に自分の絵画をこっそり持ち込み、展示室の壁に飾った。同美術館の展示物に新たに加わったこの作品を発見した警備員は、すぐにその絵画を撤去し、男は解雇された。

男は美術館に勤務していたため通常の開館時間外でも敷地内を出入りでき、自分の絵画を展示していることに気付く者はいなかった。男の60センチ×120センチの絵がどれくらいの時間、壁に飾られていたかは不明だが、美術館の広報担当者はおそらく長時間は飾られていなかっただろうと語っている。

ティネ・ネーラー氏は南ドイツ新聞に「管理者はこのようなものにすぐに気付く」と語り、この絵が何を描いたものかは分からないと述べた。CNNは美術館にコメントを求めたが、回答は得られなかった。

この事件は警察の目にも留まることとなった。警察がCNNに語ったところによると、男は器物損壊の容疑で捜査されており、有罪になれば罰金か2年以下の禁錮刑が科される可能性があるという。

ミュンヘン警察のクリスティアン・ドレクスラー警視正はCNNに対し「我々はもちろん刑事告訴に踏み切った。つまり、今後どうなるかは検察が決めることになる」とし、「しかし個々の事案を判断するのは司法だ」と述べた。

ドレクスラー氏は、「絵画が2本のねじで展示壁に取り付けられていたことからこの展示壁が破損したため、ミュンヘン刑事捜査局が現在、ドリルによって開けられた穴による器物損壊を捜査している」とし、「被害総額は約100ユーロ(約1万6000円)と見積もられている。絵は撤去され、押収された」と説明した。

同氏がCNNに語ったところによると、作業員が絵を発見した直後、男は美術館に「フリーランスの芸術家として、自分の絵を(壁に)飾った」と書いたメールを送信し、自分の行為を告白したという。警備員はこれを受け、ミュンヘン警察に通報した。

南ドイツ新聞は、この男は契約解除の一環として美術館への出入りを禁止されたと伝えている。

同様の事件は独ボンにあるドイツ連邦共和国美術展示館でも数週間前に起きている。南ドイツ新聞は、1人の学生が両面テープで自分の絵を展示壁に貼り付けたと伝えている。スタッフは展示品を撤去しているときに余分な作品があり、初めて学生の絵に気付いた。

しかし、この美術館はユーモアを持って反応した。X(旧ツイッター)に「私たちは面白いと思っているし、この芸術家と知り合いになりたいと思っている。だから連絡がほしい。何も問題にはならない。約束する」と投稿した。

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