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これがバンクシーの実名? 過去のインタビューで浮上した可能性

英国のグラフィティアーティスト、バンクシーの壁画の近くに立つ人々。壁画は欧州連合(EU)をテーマにした旗の星の一つを削る職人を描いている=2017年

英国のグラフィティアーティスト、バンクシーの壁画の近くに立つ人々。壁画は欧州連合(EU)をテーマにした旗の星の一つを削る職人を描いている=2017年/Daniel Leal/AFP/Getty Images

(CNN) 正体不明のストリートアーティスト、バンクシーといえば、匿名性を中心とする神話に彩られた存在だ。だがその本人が、過去のインタビューで実名を明かしていた可能性がある。

2003年に収録されたこのインタビューが、BBCポッドキャストのシリーズ番組「ザ・バンクシー・ストーリー」のボーナスエピソードとして、21日に公開された。

BBCのアート特派員だったナイジェル・レンチさんは、バンクシーの本名が「ロバート・バンクス」なのかと本人に尋ねた。これは当時のインディペンデント紙が報じた名前で、バンクシーの答えは「ロビーです」だった。

レンチさんは10回のシリーズ番組を聴き終えた後、記録として保管されていたこのインタビューを、バンクシーの「スーパーファン」を自称するポッドキャスト司会者のジェームズ・ピークさんと共有した。シリーズ番組ではこのアーティスト台頭の軌跡を描き、発掘された05年の米公共ラジオ放送NPRからはバンクシーの未確認の音声も紹介している。

ただし何もかも見かけ通りではない可能性もある。特にバンクシーというアーティストは。風刺を込めたユーモア、反体制的手法、反権力のテーマで有名だ。

ピークさんは21日、「名前は出てきた」とCNNに語り、「これは正しい名前か? 気の利いた冗談か?」と問いかけて、ロビー・バンクスのような名前は語呂合わせだった可能性があることをほのめかした。

バンクシーの作品「愛はごみ箱の中に」は2018年10月5日の現代美術イブニングセールで落札された後すぐに仕掛けられたシュレッダーにかけられた/Alexander Scheuber/Getty Images
バンクシーの作品「愛はごみ箱の中に」は2018年10月5日の現代美術イブニングセールで落札された後すぐに仕掛けられたシュレッダーにかけられた/Alexander Scheuber/Getty Images

バンクシーの特徴的な落書きアートは、匿名性に守られて世界中に出没した。ウクライナの爆撃されたビルの壁面。20年に英イングランドで行われた黒人差別反対のブラック・ライブズ・マター(BLM=黒人の命も大切だ)運動で奴隷取引商人エドワード・コルストンの像を倒して裁判にかけられた抗議活動家支援のTシャツ。そして18年のパリで欧州の移民危機にスポットを当てた作品。

レンチさんのインタビュー直後にバンクシーが開いた03年の展示会では、落書きされた警察車両、雑草モヒカン頭のウィンストン・チャーチル、首都警察の青いチェック模様が入った家畜などの作品が展示された。

ピークさんによると、バンクシーはレンチさんのインタビューの中でそうした作品に描かれた政治的テーマについて語り、落書きをアート作品制作の手段として使うことのメリットを考察しながら、世界的に有名になる前の初期の着想の「核心」を明かしている。

「もしも自分がとんでもない金額で売れるアートを制作している人物だったとして、自分の周りがこんな風に管理されていたとしたら、自分の意図や芸術においてどれほど純粋になれるだろうと、私はよく考える」とピークさんは言い添えた。

「このインタビューを聴いて思い当たったのは、その全てが実在していて正しかったということだ。まるで、自分のアートが何のためにあるのか、そしてそのためのかかわり方について、彼が心を決めていたようだった」

政治、破壊行為、無秩序

 そうした政治的テーマは早い時期からバンクシー作品の特徴だったが、バンクシーは03年の時点でレンチさんに対し、自分はそれほど政治的だとは思わないと語っていた。

バンクシーはこう付け加えている。「自分の人生について何かを1秒以上考えてみれば、自分が履いている靴は誰かがみじめな金額で作ったもので、自分が飲むコーヒーは誰かが世界のどこかで不当に扱われていることを意味するんだと悟るしかない」と。

破壊行為やアートに対するアプローチについては「(破壊行為の方が)手っ取り早く主張できる」とバンクシーは言い、「私にとって真の目標は、制作にかける時間よりも、見てもらえる時間の方を長くすること」と言い添えた。

展示会のテーマが無秩序だったのかと尋ねられると、バンクシーはレンチさんにこう語った。「私は不正に関心がある。他人を裁く権利が誰にある? もしあなたが一度でも司法制度と衝突したことがあるならば、どんなことにも非常に疑り深くなる。だから私はそれを少しだけゆがめるのが好きなんだと思う。本当の善人は誰なのかを見極めるのが好きなんだ」

過去のインタビューを聴いてますますバンクシーに対する尊敬の念が深まったというピークさん。その尊敬は、このアーティストの芸術的な「才能」だけでなく、それが「温かく人間的で思いやりがあり進歩的でリベラルな感情」に支えられているという認識から芽生えたと話している。

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