NBAで最小の172センチ、期待の新人・河村勇輝に話を聞く
(CNN) 身長はわずか172センチ。河村勇輝(23)はバスケットボールのスターにはなれそうもない選手かもしれない。
ダンクシュートを打てるわけではないと話す河村は、米プロバスケットボールNBAの選手のなかで最も背が低い。河村の身長はリーグの平均よりも約30センチ低く、NBAの現役選手のなかで身長が6フィート(約183センチ)未満の選手は河村だけだ。
それでも、所属するメンフィス・グリズリーズでガードとしてルーキーシーズンを送る河村は、NBAでの地位を築こうとするなか、継ぎ目のないノールックパスと相手を抜き去ってからのジャンプシュートのおかげで、ファンのお気に入りの選手となりつつある。
河村はCNN Sportの取材に答え、自身の強みについて、アシストとゲームコントロールだと思うと語り、そうした強みを生かしてチームの勝利に貢献したいと語った。河村によれば、スリーポイントシュートにも取り組んでいるという。
NBAでプレーする日本人選手として河村は4人目。山口県柳井市出身の河村にとってトップを目指す旅は目まぐるしいものだった。
河村は、レーカーズのスター選手の八村塁や、元グリズリーズの渡辺雄太、2004~05年シーズンにサンズで4試合に出場した田臥勇太といった先人の足跡をたどっている。
河村は高校時代の輝かしい活躍を経てプロ入りし、昨年のパリ五輪で一躍国際的な名声を獲得した。
小柄なガードの河村と、身長約220センチのセンター、ビクター・ウェンバンヤマとの対決は大会でも最も記憶に残る場面のひとつだった。

パリ五輪のフランス戦でビクター・ウェンバンヤマにディフェンスする河村=2024年7月30日/Herve Bellenger/Icon Sport/Icon Sport/Getty Images
試合はフランスが延長戦で接戦を制したが、河村は機敏な動きと確実なスリーポイント、そして、試合の組み立てのビジョンを存分に発揮した。河村の29得点はチーム最多だった。
河村はパリ五輪での予選リーグでの敗退は苦い敗北だったと振り返るが、自身のパフォーマンスがグリズリーズとの「ツーウエー契約」を結ぶことにつながったことも認めた。
NBAのスター選手たちにあこがれて育った河村は、グリズリーズとの契約について、生涯の夢がかなったと語った。
幼いころからマイケル・ジョーダンのような選手たちをビデオを通じて見ていたという河村は、まったく信じられないと語った。
河村によれば、最近はチームメートのジャ・モラントからインスピレーションを受けている。
河村はオールスターゲームに選出されたこともあるジャ・モラントについて、兄のような存在だと語る。米国に来た時から助けてもらっており、今でもバスケットボールの技術や英語について教えてくれるという。ベンチから見ていても、モラントは驚くようなダンクや素晴らしいプレーを披露するとし、さらに信じられないほど頭がいいと言い添えた。
河村は今シーズン、NBA下部Gリーグのハッスルで素晴らしい活躍を見せており、1試合平均12.9得点を記録している。
グリズリーズでの出場時間は限られているものの、昨年12月のサンダー戦では自己最多となる10得点を挙げてファンを喜ばせた。
河村は今シーズンのNBAで、1試合あたり平均1.2得点を挙げ、出場時間は3.2分を記録しており、ファンはさらなる活躍を期待している。最近の試合では地元のアリーナに河村の出場を求めるファンの大合唱「ウィー・ウォント・ユウキ!」が鳴り響いた。
河村は、あの歓声を聞くと感謝の気持ちとファンの期待に応えたいという気持ちが毎日のように沸いて来ると語った。現在の目標は本契約を結ぶことだという。
河村は、試合の大事な場面で「ウィー・ウォント・ユウキ!」と声がかかるような選手になりたいと力を込めた。