猫の手術以外の避妊法、米研究チームが開発 増えすぎ防ぐ有望な手段になるか
(CNN) 世界のイエネコの数は推定6億匹。そのうち80%は野良猫や捨て猫が占める。猫の避妊・去勢をすれば野良猫を減らし、保護施設の過剰負担を軽減し、野鳥や小動物が猫の餌になるリスクを減らすこともできる。
そこで米国の研究チームが手術以外の手段を使って長期的に猫の妊娠を防ぐ新たな方法を開発し、6日の科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表した。
論文筆者の1人、米シンシナティ動植物園のビル・スワンソン氏は今回の概念実証研究について、増えすぎた猫や犬の問題や、そうした動物の多くが安楽死させられている問題に対応することが目的だったと話し、「安楽死処分を防ぐ最善の方法は、家のない動物をなくすことだ」と語った。
新しい猫の避妊法開発は、ハーバード大学医学校のデービッド・ペピン准教授の発見から始まった。同氏のチームは、哺乳類の卵細胞を取り巻く細胞層の卵胞に存在し、卵胞の成長を促進させるホルモンについて研究していた。その働きを詳しく調べる目的で、このホルモンを生成する遺伝子をメスのマウスに注入。自然発生する分に加えてホルモンを追加投与した形になった。
「驚いたことに、マウスは卵巣の活動の大部分が停止して完全な不妊になった」とペピン氏は解説する。
ペピン氏のチームは、犬猫の手術以外の避妊法の開発を支援している非営利組織のマイケルソン・ファウンド・アニマルズ財団のことを知り、同財団を通じてシンシナティ動物園のスワンソン氏と共同研究に乗り出した。
実験に参加した猫の「ミシェル」/Cincinnati Zoo & Botanical Garden
シンシナティ動物園にはライオン、トラ、スナネコといったネコ科動物のほかに、同財団の研究のために使っている約45匹のイエネコが暮らしていた。