幹線道路に緊急着陸、危機一髪の経験をパイロットが振り返る 米

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危機一髪、小型機が幹線道路に緊急着陸 米

(CNN) 米ノースカロライナ州グレート・スモーキー山脈国立公園のすぐ南に位置する山岳地帯。小型機のエンジンが3回にわたって不具合を起こしたとき、ビンセント・フレーザーさんはこの山中で緊急着陸するしか選択肢がなかった。

危機一髪の着陸の様子をとらえたGoProの動画には、フレーザーさんが単発エンジンの機体を操って送電線の下をくぐり抜け、幹線道路の中央車線に着地する光景が映っている。両隣の車線を通り過ぎる自動車も見える。

着陸が行われたのは7月3日。当時、フレーザーさんは義父と一緒に飛行中だった。

11日午前のCNNの番組に出演したフレーザーさんは「私の頭に浮かんだ考えはただ一つ、義父と地上にいる人の安全を守らなければ、ということだった。とにかく誰にも怪我(けが)をさせずに着陸しようと最善を尽くした」

最初にエンジンの不具合が起きたのはフォンタナ湖上空でのことだった。樹木が生い茂る山がちな地形のため、道路はどこにも見当たらなかった。

「だから、最初はまったく選択肢がなかった」とフレーザーさん。一時は遠くに見える橋が「唯一最大のチャンス」だと思ったが、橋に着陸するには飛行高度が低すぎるうえ、橋の上には多くの車がいて、下手に着陸を試みれば死傷者を出す恐れがあった。

次に選択肢として考えたのは橋の前を流れる川。この川に着陸するつもりだったが、「何かの奇跡で左側にあの幹線道路が現れた。それまでは山や谷、樹木に隠れて見えなかった」(フレーザーさん)

幸い、フレーザーさんを乗せた小型機にはまだ十分な高度があり、最後の瞬間に機体を幹線道路の方に向けることができた。

フレーザーさんのGoProカメラがとらえた映像には、機体が道路の中央に着陸し、その両側を車が通過する様子が映っている。

地上にいた人たちは「さぞ怖かっただろう」と、フレーザーさんは振り返る。

スウェイン郡の保安官はフェイスブックへの投稿で着陸を「見事だ。誰1人けが人はいない。驚きだ」と称賛した。

整備士が機体を点検した後、小型機は山道をけん引され、より高い位置にある十分な長さの道路まで運ばれた。その3日後、フレーザ-さんは幹線道路から再び飛び立った。

離陸は「怖かった」というフレーザーさんだが、そこで海兵隊式の目標設定を行った。

「海兵隊にいた頃を思い出し、山から離陸することを自分の任務に据えた。機体が安全なことは分かっていたし、航空機は点検済みで、訓練も積んでいた」とフレーザーさん。だが、内心ではビクビクしていた。

「正直なところをいうとスイッチを切って機外に出て、吐いてしまいたかった。これが現実だとは思えなかった」

しかし、離陸は無事成功。「任務完遂」だった。

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