南極のアザラシ、氷河融解についての研究をアシスト

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1992~2017年にかけ、南極では2兆7000億トンの氷が消滅した/Courtesy James Kirkham

1992~2017年にかけ、南極では2兆7000億トンの氷が消滅した/Courtesy James Kirkham

海氷の融解は海水面の上昇につながるが、一方でポリニヤには環境にプラスな面もある。

融解水には陸地の栄養物や鉱物が豊富に含まれていて、海洋の食物連鎖の基礎となる藻の成長を促す。

ゼン氏によると、ポリニヤの正確なサイズと数を特定するのは難しいものの、今回のデータが収集されたパインアイランド氷河の前では恒久的なポリニヤが形成されているという。

正確な予想

南極には世界の氷の90%、地球の淡水の80%が存在する。しかし1950年代以降、南極の気温は3度上昇し、2020年2月には観測開始以降で最高となる気温を記録した。気温の上昇は氷の急速な減少を引き起こしており、1992~2017年の期間には2兆7000億トンの氷が消滅。そのペースはますます加速している。

科学者は氷の融解が世界の環境に連鎖反応を及ぼすことは把握しているものの、具体的な影響については議論や不透明な部分が多々ある。たとえば、極地方の氷融解や温暖化した海水の拡大により、海水面は今後100年で上昇するとみられているが、上昇幅の試算は将来の温暖化ガス排出量がどの程度になるかに応じ、約0.3~2.4メートルとばらつきがある。

ゼン氏のようにデータ収集と分析にアザラシを活用することで、こうした予想を絞り込み、研究者がより正確に状況を把握する助けになる――。ベーメ氏はCNNの取材にそんな期待を口にした。

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