マラソン選手から見つかった腸内細菌、運動能力向上に関係か
(CNN) マラソン選手の腸内細菌を調べた最近の研究で、大会後に目立って増える細菌があり、これが運動能力に影響しているとの可能性が指摘された。
研究は生物医学誌ネイチャーメディシンに発表された。2015年のボストン・マラソンに参加した選手の一部を対象に、大会前と大会後それぞれ1週間の便を採取し、腸内細菌の変化を調べた。
その結果、大会後はどの選手もベイロネラという種類の細菌が目立って増えたことが分かった。ベイロネラには、強い運動によって体内に生じる乳酸を代謝する働きがある。
研究チームは次に、選手らの便からベイロネラの一種を抽出し、マウスに与える実験を行った。すると、ベイロネラを与えたマウスはそうでないグループに比べ、トレッドミルで走らせた時の運動量が13%増加することが分かったという。
マウスが運動した時に生じた乳酸がベイロネラによって代謝されて血液中に放出され、運動能力を向上させるとみられる。
この結果は将来、スポーツ選手の能力を向上させたり、糖尿病のような代謝疾患の治療に役立てたりするサプリメントの開発につながる可能性もある。
ただし、スポーツ選手の腸内にベイロネラが多くみられるとの研究結果は過去にも報告されていた。専門家は今回の研究の弱点として、ベイロネラが運動能力に影響することを直接示した根拠がマウスの実験にとどまり、採便に協力したマラソン選手の人数も少なかったことを挙げた。