新型コロナの死者増加、ワクチン未接種の高齢者に行動制限 ロシア

集中治療室(ICU)で新型コロナの患者を治療する医療従事者ら=19日、ロシア・モスクワの病院/Alexander Zemlianichenko/AP

2021.10.21 Thu posted at 10:03 JST

モスクワ(CNN) ロシアで新型コロナウイルス向けのワクチン接種が進まず、医療体制が逼迫(ひっぱく)し、政府への不信が広がるなか、新型コロナウイルスによる死者数が流行後最多となっている。こうした状況を受けて、ロシアでは数百万人が新型コロナウイルスの流行抑止に向けた新たな規制の対象となる。

ロシア市長は19日、60歳以上のワクチン未接種者と慢性疾患を患っているワクチン未接種者に対して、来年2月下旬までの4カ月間にわたる自宅待機を指示した。

ロシアのプーチン大統領は20日、直近の新型コロナウイルスの流行の波を抑えるため、ロシア全土で10月30日から11月7日までを「非労働日」とする政府案を承認した。


新型コロナによる死者を埋葬する人々=ロシア中部オムスクの墓地/Yevgeny Sofiychuk/TASS/Getty Images

ロシアで報告される新型コロナウイルスの1日あたりの感染件数と死者数はここ数日、繰り返し過去最高の水準となっている。20日に記録された新型コロナウイルスによる死者の数は1028人だった。

専門家からは新型コロナウイルスの流行について、ワクチン接種プログラムの停滞や政府が発するメッセージの不備を指摘する声が出ている。

自宅で患者にワクチン接種を行う医療従事者

ロシアの疫病学者で世界保健機関(WHO)の顧問を務めた経験を持つワシリー・ウラソフ氏はCNNの取材に対し、「ロシアは今、大惨事に陥りつつあると思う」と述べた。新型コロナウイルスによる罹患(りかん)率や死亡率は依然として高い水準にあり、医療体制は逼迫していると指摘。年内にはさらに死者数が増える可能性があるとの見通しを示した。

政府当局者も危機的状況の深刻さについて公に語り始めた。ミシュスチン首相は19日、新型コロナウイルスの作業部会で、医療機関に対する負担が著しく増加していると述べた。

ロシアの新型コロナウイルス流行抑止に向けた取り組みはワクチン接種の停滞によって阻まれている。ロシアでは国内製のワクチンが4種類承認されているものの、ワクチン接種を完了した人の割合は全人口の約30%にとどまっている。

複数の調査によれば、ロシアではワクチンに対する懐疑的な見方が強い。9月に発表された独立系世論調査機関「レバダセンター」の調査によれば、52%がワクチン接種をする気がないと答えていた。

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