ロンドン(CNN Business) 英国の大手クラフトビール製造業者ブリュードッグが、多くの元従業員から「恐怖の文化」を助長しているとの告発を受けて謝罪した。「下位の職員にストレスを与える言動」が横行していたという。
9日に公表された公開書簡では、元従業員だという70人以上のグループが同社での勤務後、「熱意の喪失や恐れ、みじめさ」を感じていたと訴えた。
英国北部のスコットランドを拠点とするブリュードッグは、クラフトビールの醸造所のほか、バーのチェーン店の運営も手掛ける。パンクロックの精神に根差した社風やリベラルな政治信条、積極的なマーケティングなどで知られる。
書簡の中で元従業員らは「人間らしい扱いというものを、残念ながらブリュードッグで働く人々はいつも享受できたわけではなかった。(中略)ブリュードッグの真の企業文化とは恐怖にほかならず、それはずっと変わっていないように見える」と述べた。
今回の告発を支持する元従業員はほかにも45人いるが、「不安を覚えるとの理由から、名前や頭文字の記入を見送った」という。
ブリュードッグのジェームズ・ワット最高経営責任者(CEO)は声明で、書簡について「不穏な内容ながら極めて重要」との認識を表明。細部に異議を唱えるのではなく、元従業員の声に耳を傾け、理解し、行動することに注力すると述べた。
また過去と現在の社員らすべてに働きかけてより多くの情報を得る考えを示す一方、「何よりも今は、申し訳なく思う」と謝罪した。
ワット氏は自社に好意的な社員も数多くいるとしつつ、書簡が訴えるように社が対応を誤った事例も多々あったと認めた。同社の広報担当者によると、ブリュードッグは英国内に1215人の従業員を抱える。
書簡はブリュードッグの共同創設者のワット氏を名指しし、職員にストレスを与える雰囲気を作り出していると非難。会社のこれまでの成功は従業員を犠牲にして実現したものだと強調した。
2007年に創業したブリュードッグはその後急成長を遂げ、米国、ドイツ、オーストラリアに醸造所を設立。60カ国に製品を輸出し、世界で100店舗以上のバーを運営している。