(CNN) 記録的な洪水に見舞われて住民が避難を強いられているオーストラリア南東部ニューサウスウェールズ(NSW)州で、動物や昆虫も集団で高台に移動している。SNSには大量のクモが住宅地や家の中に押し寄せる写真や動画が相次いで投稿された。
同州では18日から続く豪雨の影響で20日にダムが氾濫(はんらん)、河川の増水や鉄砲水が発生した。
グラディス・ベレジクリアン州首相の22日の発表によると、洪水に見舞われた地域から避難した住民は約1万8000人に上る。地元住民はSNSへの投稿で、大量の昆虫や動物も避難している様子を伝えた。
同州キンチェラクリークの農場に住むマット・ラベンフォスさんは、大量のクモが押し寄せる写真をフェイスブックに投稿し、「茶色に見えるのは全部、増水から逃れようとしているクモです」と書き込んだ。
2001年3月と13年3月にも同様の洪水を経験したというラベンフォスさん。その時もクモの大群が高台にある自宅に押し寄せたと振り返る。
「雨はまだ降っていて増水が続き、水が我が家に迫っている」「朝までには浸水して家じゅうクモだらけになるはず」。それでもラベンフォスさんは2階建ての自宅にとどまるつもりだという。
洪水に追われて避難しようとしているのはクモだけではない。「樹木はヘビだらけ」「ボートをこぎ出せば、ヘビたちが乾いた場所を求めてボートの方に泳いでくる。クモたちと同じように」
そう伝えるラベンフォスさんが動揺する様子はない。「私はこの農場で育ったので、いつもヘビやクモなどあらゆる動物たちに囲まれていた。だから気にはならない。普段はそれほどかかわることはないけれど、洪水が来たら彼らも乾いた場所を見つける必要がある」
同州マックスビルに住むメラニー・ウィリアムズさんも、ガレージの扉と思われる表面が何百匹ものクモのような昆虫で覆われた映像をフェイスブックに投稿。「洪水のせいでこんなにたくさんのクモが」と伝えた。
ティックトックには、迫る洪水に追われてフェンスに押し寄せたクモの動画が投稿された。「避難場所を求めて人の足にも登ってくる」とこのユーザーは書き込んでいる。
同地の大雨は今後も続く見通しで、避難する住民がさらに増える可能性もあるとベレジクリアン州首相は予想。「我が州の歴史において、パンデミック(感染症の世界的大流行)の最中に、これほどの急展開でこのような異常気象に見舞われたことはなかった」と話している。
記録的洪水で住民避難 豪南東部