先住民長老と対峙した高校生、米紙を相手取り訴訟

先住民男性と対峙する動画で物議を醸した男子高校生が米紙を相手に訴訟を起こした/Instagram/Kaya Taitano

2019.02.20 Wed posted at 17:30 JST

ニューヨーク(CNN Business)  米首都ワシントンのリンカーン記念館前で先住民男性と向き合う場面の動画が拡散し、侮辱的な行動だとして非難を浴びた男子高校生が、米紙ワシントン・ポストに損害賠償を求める訴訟を起こした。

訴えを起こしたのはケンタッキー州のカトリック系男子校に通うニコラス・サンドマンさん。訴訟を担当する法律事務所が19日、ウェブサイト上で発表し、「これは始まりにすぎない」と強調した。

原告側は、サンドマンさんがカトリック系の白人生徒であることや、動画の中で「米国を再び偉大に」というトランプ大統領のスローガンが書かれた赤い帽子をかぶっていたことなどの理由から、ワシントン・ポストがサンドマンさんをいじめの標的にしたと主張。同紙が「サンドマンさんを攻撃、中傷、脅迫する主流メディアとソーシャルメディアによるいじめ集団」の先頭に立とうとCNNやNBCテレビと競い、「現代版の赤狩り」を繰り広げていると非難した。

ワシントン・ポストの報道担当者はCNN Businessの取材に対し、訴状を精査していると述べたうえで、徹底抗戦の構えを示した。

サンドマンさんの高校のグループは先月18日、ワシントンで人工妊娠中絶反対の集会に参加した後、リンカーン記念館前で待機していた。この場所では同日、先住民への差別に抗議する集会も開かれていた。

メディアの報道で、事実と異なる内容の非難を浴びたと訴えるニコラス・サンドマンさん

拡散した動画には、太鼓をたたいて祈りを唱える高齢の先住民男性と、笑みを浮かべたサンドマンさんが向き合って立つ姿が映っていた。米メディアは、サンドマンさんが男性の前にたちはだかり、取り囲んだ他の生徒たちがはやし立てていたと伝えた。

だが数日後に浮上した別の動画からは、この時近くにいた黒人男性の集団が、サンドマンさんたちや先住民のグループ、通行人らに対して侮辱的な言葉を浴びせていたことが分かった。

サンドマンさんは自身の行動について、その場の緊張を和らげようとしたと説明。差別的な態度を取ったつもりはないと主張し、「あの時ほほ笑んだのは、こちらが怒ったりおびえたり、挑発されて騒ぎを大きくしたりする気はないことをあの男性に知らせたかったからだ」と説明した。

先住民長老と対峙した高校生、米紙を提訴

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