古代ローマの子どももビタミンD不足、遺骨分析で判明

日光を浴びることで体内で作られるビタミンDだが、古代ローマの子どもたちも「ビタミンD不足」に悩まされていたことがわかった/PAULA BRONSTEIN/GETTY IMAGES

2018.08.25 Sat posted at 11:20 JST

(CNN) 欧州各地に分布する古代ローマの墓地で子どもの遺骨を分析した研究チームによると、当時の子どもたちの20人に1人はビタミンDの欠乏による「くる病」にかかっていたことが分かった。

カナダのマクマスター大学と、英イングランドの歴史的建造物などを守っている政府外郭団体「ヒストリック・イングランド」「イングリッシュ・ヘリテージ・トラスト」の共同チームが、イングランド北部からスペイン南部にかけての各地に残る1~6世紀の墓地18カ所を回り、計2787体の遺骨を分析した。

遺骨には成人も含まれていたが、大半が3歳未満の幼児だった。

ビタミンDは食事から摂取されるほか、日光を浴びると体内でつくられる。チームは当初、18~19世紀の産業革命による大気汚染や住環境の変化で、都市部の子どもたちにビタミンD欠乏性のくる病が増えたとの仮説を立て、この時代と古代ローマの遺骨を比較した。

すると、古代ローマの子どもたちもビタミンDが欠乏していたことが分かったという。産業革命の時代ほどではないが、子どもの5.7%、成人の3.2%にくる病が見つかった。

この結果は米自然人類学会の専門誌AJPAの最新号に掲載された。

チームの研究者は、「ビタミンD不足は近代以降の問題とは到底いえないことが分かった。2000年も前から、特に幼い子どもで不足していた」と指摘。子どもを日光に当てず、室内で育てる親が多かったことが主な原因との見方を示した。

古代ローマ時代の育児のイメージ図

古代ローマ帝国には日照時間の長い地中海沿岸部も含まれていたが、くる病は北の地域に住む子どもたちにより多くみられた。

地中海沿岸でも、この時代に港町として栄えたローマ近郊のオスティア付近だけは、くる病の子どもが多かったようだ。

オスティアでは当時、人口が急増し、アパートのような共同住宅がひしめき合うように建てられた。部屋の窓も小さく、子どもたちが十分な日光を浴びられなかったのかもしれないと、研究者は話している。

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