ネット統制強める中国、チャットの友人監視義務付けも

インターネットの利用にかかわる中国当局の規制が厳しさを増している

2017.10.16 Mon posted at 11:13 JST

香港(CNN) 中国共産党が北京で開かれる第19回党大会を前に、インターネットに対する統制を強めている。アプリを通じたグループチャットの管理人に対し、友人の発言の監視を義務付ける規制もこのほど新たに導入された。

習近平(シーチンピン)国家主席は今回の党大会を利用して、毛沢東以来となる統制と影響力の確立を目指す。党はこの1年の間に、これまで以上にインターネット検閲の態勢を強化。新しい法律や規制が導入され、かつては異なる意見が許容されていた分野や話題にまで取り締まりが及んでいる。

米国在住のリ・ホンクアン氏はかつてそうした検閲に対抗して、中国で禁止されているニュースや政治ゴシップをニュースレターにまとめ、中国当局の規制をかいくぐって中国へ配信していた。

しかし検閲の強化でニュースレターが配信できなくなり、今度は中国で人気のグループチャットアプリ「微信(ウィーチャット)」を利用して、反体制派が発信するニュースやメッセージ、写真などを共有していた。

ところがこうしたグループチャットを取り締まる新規制が先ごろ導入された。管理人を委託されたユーザーは友人の発言を監視することが義務付けられ、違反すれば処罰される。

リ氏が米国版のウィーチャットから投稿する内容は遮断されて中国では表示されなくなり、グループチャットに参加することもできなくなった。「ウィーチャットの全ユーザーが影響を受ける」とリ氏は言う。

ウィーチャットを提供する中国のネット大手テンセントはこの問題について取材に応じていない。しかし新規制は広く徹底されている様子だ。

中国の習近平(シーチンピン)国家主席

国営メディアによると、湖北省では先月、グループチャットのユーザー40人が、地元自治体に対する嘆願書を広めることによって「不適切な発言を行った」として処罰された。

北京では党大会が近付く中で、ウィーチャットの規制に加えて、検閲をかいくぐる目的で使われる仮想プライベートネットワーク(VPN)が封鎖され、インターネット大手は罰金を命じられ、新たな禁止対象となるコンテンツが増大した。

「党や国家機関が国民の生活に介入するケースが増えている」と専門家は指摘する。

ソーシャルメディアやブログを運営する企業などに対しては以前から、宗教運動や同性愛、反政府デモ、チベット独立運動などに言及する内容を取り締まることが義務付けられていた。

加えて有名人に関するニュースやゴシップなど、かつては規制対象外とみなされていた話題も、今ではデリケートな内容として扱われる。

中国政府は、自国内のインターネットは国家が完全に統制すべきだとする「インターネット主権」を打ち出してきた。「中国は世界的なネット接続の必要性や公開性を強調する一方で、世界一高度なインターネット管理と報道検閲の制度を強化し続けている」。米議会の中国に関する委員会は、報告書の中でそう指摘した。

こうした規制は、党大会が終われば見直されると予想する専門家もいる一方で、中国のネット検閲に詳しい専門家は、今後も規制の壁は一層高くなり続けるだろうと予想している。

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