イランで観光客急増、制裁の影響薄れホテルも建設ラッシュ

イランの古都イスファハーン。同国を訪れる観光客の数が急増している

2017.09.07 Thu posted at 15:59 JST

ドバイ(CNNMoney) 国際社会に科された制裁の影響で外国人の足が遠のいていたイランで近年、観光客が急増し、ホテルの建設も相次いでいる。

公式統計によると、今年3月までの1年間にイランを訪れた旅行者は600万人を超え、前年を50%上回った。2009年に比べると3倍に増えている。

背景にあるのは15年に米国など主要6カ国の間で成立した核合意だ。翌年早々に多くの制裁措置が解除されたことを受け、多くの観光客がイランに戻る結果となった。

英ブリティッシュ・エアウェイズや独ルフトハンザなど欧州の航空会社が直行便の運航を再開し、イラン当局はビザの発給要件を緩和した。旅行者の増加に伴い、ホテルの需要も急激に高まっている。

地元の起業家にも外国の業者にとっても、絶好の機会といえる。

欧米企業の一部は、米国のトランプ政権が核合意を破棄するのではないかとの懸念から慎重な姿勢を示している。その一方で、国際的な大手チェーンが次々と参入し始めた。

仏アコーホテルズは15年、ホテルチェーンとして一番乗りで進出。現在イランの2カ所に展開している。

シラーズにあるモスク(礼拝所)の内部

スペインのメリアは18年に最初のホテルのオープンを見込む。アラブ首長国連邦(UAE)のロタナも来年早々に1軒、20年までにさらに3軒の建設を予定している。

英国の格安チェーン、イージーホテルは今年7月、同国で500室を提供する契約を結んだとされる。

イランの観光当局は25年までに2000万人以上の観光客を誘致するとの目標を掲げる。需要は十分にありそうだ。

新たに訪れる観光客は、同国の歴史や文化に関心を持つ欧州、アジアの若者が中心。イスファハンやシラーズといった古都の観光が人気だ。ペルセポリスの遺跡は世界遺産に指定されている。

国内5カ所でホステルを経営するジャラル・ラシェディさんによると、格安の宿泊施設を求める旅行者が多い。ラシェディさんのホステルは、朝食とインターネット接続付きで一泊15ドル(約1600円)だ。

「ここ数年増えてきたのは個人旅行の若者。好奇心と冒険心に富み、イランの真の姿を知りたがっている。ホステルを利用する旅行者が多い」という。

世界経済フォーラム(WEF)が今年まとめた報告で、イランは世界で最も安く旅行できる国に挙げられている。

ただし、欧米からイランに入国するにはビザが必要だ。到着時に取得できるケースが多いが、米国、英国、カナダからの旅行者は事前に申請する必要がある。

一部の制裁はまだ解除されていないため、外国の銀行と提携関係がなく、欧米のクレジットカードも使えない。そのためホテルの予約金が支払いにくいなど、課題は残っているようだ。

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