(CNN) 刺激的な風刺画で過去にも物議を醸したことがあるフランスの週刊新聞「シャルリー・エブド」が3日までに、イタリア中部を8月24日未明に襲った大地震の負傷者らを題材にした作品を最新号に掲載し、被災者らから反発を買う騒ぎとなっている。
この作品のタイトルは「イタリア式の地震」と称するもので、負傷者の姿をイタリア料理のレシピになぞらえて描いている。出血多量の男性には「トマトソースのペンネ」、顔面に大きな傷痕ややけどを負った女性には「ペンネグラタン」の言葉が添えられ、崩壊した建物のがれきの間にはさまれ、血を流しながら足が突き出ている多数の被災者の図柄は「ラザニア」と題されている。
これら一連の作品はイタリアだけでなくインターネット上でたちまち大きな反感を呼ぶ結果となった。
甚大な被害が出たアマトリーチェのピロッツィ町長は「不快で困惑する風刺画」と非難。イタリアのANSA通信によると、町長は「フランス国民の本当の気持ちを表現しているとは考えない」と主張した。「皮肉は結構だが、災害と死者の風刺は出来ないはずだ」とも反論した。
同町の名物はトマト味のパスタソース。今回のマグニチュード(M)6.2の地震で、町内の大半の建物が倒壊し、180人以上の犠牲者を出した。他の被災地を含めた死者数の総数は約300人となっている。
ツイッター上には、シャルリー・エブドの風刺画に対する嫌悪感などを示す書き込みが相次いでいる。「彼らは風刺の背後に隠れている。オフィスを出て、被災地に来て、全てを失った人々の前に立ってみろ」や「もはや風刺ではない。命を失った被災者への純然たる侮蔑である」などの意見が投稿された。
同新聞はまた、今回の地震に対する別の揶揄(やゆ)も紙面に掲載。これまでも再三取り上げている聖戦主義者に絡めて「一匹おおかみ(ローンウルフ):イタリアの地震で約300人死亡。地震が揺れを発する前、『アラー・アクバル(神は偉大なり)』と叫んだのかどうかは不明」ともした。
パリにある同新聞の本社では2015年1月、イスラム教に対する冷笑的な作品に反発するイスラム過激派2人の襲撃を受け、12人が射殺されるなどした。この事件は世界中で同新聞への支持の輪を広げ、表現の自由などを重視する抗議デモも続いて「私はシャルリー」のスローガンも評判になった。ただ、その後も挑発的ともされる編集スタイルを打ち出すシャルリー・エブドに対する反感も強まり、読者離れも起きたとされる。
今年1月には、シリアから欧州への脱出を図った3歳男児が水死した姿が国際的な反響を呼んだ出来事に関連し、この男児が性的嫌がらせの常習者の大人となる風刺画を載せ、非難を浴びていた。ドイツで起きた難民申請者による大規模な性的暴行事件に絡ませた作品だった。