ベネズエラ、不況と停電の二重苦 国民「生きていけない」

商店の机の上に置かれた「停電中」の文字

2016.04.27 Wed posted at 13:24 JST

カラカス(CNN) 冷蔵庫の中の食品は傷み、電子レンジもテレビもステレオも使えない――。南米ベネズエラ政府が慢性的な電力不足に対応するため全土で始めた計画停電の影響で、国民がそんな生活を強いられている。首都カラカス郊外に住むグスタボ・ディアスさんは「こんな生活は続けられない」と憤りをあらわにした。

ベネズエラ政府は21日、全土で1日4時間の計画停電を次週から少なくとも40日間実施すると発表した。「計画停電は先月から始まっていて、これまでは午前中と午後に2時間ずつの停電だったが、今度は4時間連続の停電になった」とディアスさんは言う。

政府は停電の理由として、エルニーニョ現象や干ばつの影響で、ベネズエラの電力の75%を賄うダムの水位が過去最低を記録したと説明する。

今月6日からは節電対策として毎週金曜日が休日になった。5月からは勤務中の日照時間を増やす目的で時刻を1時間半先に進める。

景気悪化による深刻な物不足に計画停電が重なり、人々の暮らしは大打撃を受けている

原油安による景気の悪化で砂糖や小麦粉、卵といった生活必需品は輸入しにくくなり、市民はスーパーマーケットで買い物をするために何時間も行列に並ぶ。それでも買えるかどうかは分からない。

国際通貨基金(IMF)によると、ベネズエラの昨年の景気は5.7%縮小し、今年はさらに8%の後退が見込まれる。インフレ率は急騰し、今年はさらに500%高騰する見通しだ。

労働者階級の町チャラジャベは、かつて故チャベス前大統領率いる社会主義政権を支えてきたが、今はほとんどすべての商店に「停電中」の張り紙。ある商店主は、停電や不況のために売り上げが激減したと不満を漏らす。別の店の女性は暮らし向きを尋ねられると涙を流し、「こんな状態では生きていけない」と訴えた。

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