(CNN) キューバ訪問中のオバマ米大統領は22日、首都ハバナのアリシア・アロンソ国立劇場でラウル・カストロ国家評議会議長ら要人や政府高官を前に演説し、「私は米大陸に残された冷戦の最後の遺物を葬るために来た」と宣言して拍手を浴びた。
オバマ大統領は演説の中で米国がキューバに科してきた禁輸措置に触れ、「禁輸を解除すべき時が来た」と述べる一方、「我々が禁輸を明日解除したとしても、ここキューバにおいて持続的な変化がなければ、キューバ国民が潜在力を発揮することはできない」と強調した。
ベルギーのブリュッセルで起きたテロ事件については短く触れるだけにとどめ、約40分に及んだ演説のほとんどの時間を使ってキューバとの新時代について語った。
オバマ大統領は「友好の手をキューバの人たちに差し伸べるために来た」と語る一方で、両国間には政治から経済に至るまでまだ大きな隔たりがあると指摘。「同意を強要することはできないが」と前置きしたうえで、「法の下では誰もが平等であるべき」「市民は恐れることなく思ったことを自由に発言できなければならない」と力説した。
さらに、政府批判や平和的な抗議活動も認められるべきだと訴え、「そうした人権は普遍的なものであり、米国人やキューバ人、そして世界中の人たちの権利だと信じる」と指摘。民主主義ではどんな理念でも自由に表現できると説き、「米国にはキューバの変化を強要する能力も意図もない」「どんな変化が到来するかはキューバ国民次第だ」と語りかけた。
演説後は反政府活動家など十数人と会談し、信教の自由や言論の自由について語り合った。参加した活動家は全員が拘束された経験をもつ。オバマ大統領の訪問を前に、キューバ当局が反体制派を逮捕するとも報じられていた。
演説ではインターネットの普及促進にも言及した。持続的な経済成長は教育や医療制度、環境保護だけでなく「自由で開かれた意見交換にもかかっている」と述べ、「インターネットの情報にアクセスできなければ、異なる意見に触れることができず、潜在力を発揮することもできないまま、やがて若者は希望を失う」と強調している。