グーグル検索で大統領選の結果も「操作可能」 米研究

グーグルの検索結果のランキングで選挙結果に影響も?

2015.08.27 Thu posted at 15:44 JST

ニューヨーク(CNNMoney) インターネット上で絶大な影響力を持つ米グーグルが、検索の仕組みにわずかでも手を加えれば、2016年の米大統領選の結果を操作することも可能かもしれない――。米国行動調査・技術研究所(AIBRT)のロバート・エプスタイン研究員が、政治ニュースサイトのPolitico.comにそんな論文を寄稿した。

それによると、同氏の研究チームはまだ誰に投票するか決めていない有権者を対象に、研究目的を知らせないまま、操作された検索結果を見せる実験を行った。その結果、特定の候補者に有利な検索結果を表示することで、世論をその候補者を支持する方向に誘導できることが分かったという。

実験ではわずか15分の検索を行っただけで、特定の候補者の支持率が37~63%も上昇した。この実験は、誰に投票するかまだ決めていない米国とインドの有権者から無作為に抽出した4500人を対象に、5回にわたって実施した。

グーグルの広報はこの結果について、同社の検索アルゴリズムでは「関連のある答え」が提示される仕組みになっていると説明。もしも特定の見解に傾くよう操作したとすれば、「検索結果と会社に対する信頼が損なわれる」と強調した。

しかしグーグルのこの回答は「無意味」だとエプスタイン氏は述べている。「選挙関連の質問に『関連のある答え』を提示することが、なぜ検索ランキングで特定の候補者を別の候補者より優遇する可能性を排除することになると言えるのか。グーグルの声明は、操作を行ったことはないという全面的な否定には程遠い」

2012年の大統領選と同様、2016年の選挙も僅差になる可能性がある

2012年の米大統領選ではオバマ大統領が3.9%のわずかな差で勝利した。16年の大統領選も接戦が予想されることを考えると、選挙結果は「グーグルなら十分操作できる範囲内」にあると研究チームは見る。

エプスタイン氏は、グーグルが実際に選挙を操作するとまでは言わなかったものの、過去の事例に言及して、もしグーグルが操作を試みたとしても、それは同社だけにとどまらないと指摘した。

同氏によれば、通信大手のウエスタンユニオンは1876年の大統領選挙で同社が支持するラザフォード・ヘイズ候補の支持率押し上げをはかったという。選挙が米国史上最大の接戦となる中、同社は当時独占状態にあった電報網やAP通信との独占契約を利用して、ヘイズ候補にとってプラスになるニュースのみが流れるようにした。選挙はヘイズ候補が僅差(きんさ)で勝利した。

グーグルは平均すると、1日に1回以上の頻度でアルゴリズムを調整している。たとえグーグル創業者のラリー・ペイジ氏ら3人の経営者が選挙結果の操作に直接関与しなかったとしても、悪意を持った従業員が経営陣の知らないうちにコードに手を加える可能性もあるとエプスタイン氏。「あなたが今これを読んでいる間にも、グーグルは容易に世界中の選挙に影響を与えることが可能だ」と指摘している。

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