ハマス最高幹部の遺体、人質返還交渉の切り札か イスラエル情報筋が示唆
(CNN) イスラエルによって殺害されたイスラム組織ハマスの最高幹部、シンワル政治局長の遺体は、パレスチナ自治区ガザ地区で拘束されているイスラエル人の人質の解放を求める「交渉の切り札」として用いられる可能性がある。イスラエル側の複数の情報筋がCNNに明らかにした。
地元メディアの報道によると、シンワル氏の遺体は現在、イスラエル国内の秘密の場所に保管されている。同氏は16日、ガザ南部でイスラエル軍により殺害された。
情報筋2人がCNNに述べたところによれば、人質の確実な解放はイスラエルが今後遺体の利用方法を決定する上で、最優先事項となる公算が大きい。シンワル氏はイスラエル側から昨年10月7日に発生したテロ攻撃の黒幕と目されている。
このテロ攻撃中に連れ去られ、今なおガザで拘束されている人質の数は100人を超える。イスラエルは現在、ハマスに対してどのように「迅速な圧力をかけ」、人質を解放させるかを検討中だ。イスラエルの情報筋1人が明らかにした。
あるイスラエルの外交筋は、もしハマスがシンワル氏の遺体とイスラエル人の人質との交換を望むなら、人質の生死に関係なく条件として好ましいとの認識を示した。
シンワル氏が「交渉の切り札」として捉えられている可能性については、いずれの情報筋も合意した。
情報筋は、人質との交換がシンワル氏の遺体をガザに返還する唯一の方法となる公算が大きいと指摘。「それ以外に彼(シンワル氏)の引き渡しが実現することはないだろう」と述べた。
前出の外交筋によると、シンワル氏の遺体がガザに戻れば、いかなる状況にせよハマスの支持者らが結集するリスクが生じる。シンワル氏がガザに埋葬された場合、埋葬地は支持者にとっての聖地になりかねないと、この外交筋は見込む。
イスラエルのネタニヤフ首相とヘルツォグ大統領は18日、安全保障に関する会合を開き、シンワル氏殺害を人質の返還につなげる「絶好の機会」について話し合った。ヘルツォーク氏のオフィスが声明で明らかにした。
17日の発言でネタニヤフ氏は、依然としてイスラエル人の人質を拘束するハマスの構成員に対し、武器を置いて人質を返すよう要求。要求に応じた構成員については拘束せず、命も奪わない意向を表明していた。