ウクライナ、ロシア領奥地へ大規模ドローン攻撃
ウクライナのウメロウ国防相は先週、CNNの取材に答え、バイデン米政権に対して、ウクライナ政府が米国が提供した長距離兵器を使って攻撃を望んでいるロシア領内の標的のリストを提示したと明らかにした。ウクライナが使用したいと考えている長距離兵器の中には、射程が300キロほどとされる地対地ミサイル「ATACMS(アタクムス)」が含まれる。
米当局者によれば、ウクライナが価値が高いと考えているロシア領内の標的の多くはATACMSの射程外にある。ロシア軍は、滑空誘導爆弾を発射できる航空機など価値の高い軍事資産について、前線から遠く離れた場所に移動させている。
ウメロウ氏はこうした評価には同意せず、米国にはATACMSを使って攻撃できる標的のリストを提示したと述べた。
米シンクタンク「戦争研究所(ISW)」の分析も、ロシア領内にある価値の高い標的はATACMSの射程内にあるというウメロウ氏の主張を支持している。
ISWはロシア領内にある233カ所の標的を特定した。その中には、大規模な軍事基地をはじめ、通信施設や物流拠点、修理工場、燃料貯蔵施設、弾薬貯蔵施設、常設の司令部などが含まれる。こうした動かすことのできない資産がATACMSの射程内にあり、ロシア政府はこうした資産を危険から遠ざけることはできないと指摘した。
ISWによれば、ウクライナがATACMSでこうした標的の一部を攻撃するだけで、ロシアの前線での戦闘能力に大きな影響を与えることができるという。
ウクライナは米国に対してATACMSの使用制限の解除を求めつつ、新たな国産の長距離兵器の開発も進めている。
ゼレンスキー氏は8月、ロシア領内奥地への攻撃が可能な新型のドローンを発表していた。
ゼレンスキー氏によれば、「パリアンツィア」と名付けられた「ミサイル・ドローン」が初めて戦闘で使用された。既存のドローン群よりも素早く強力だという。
ゼレンスキー氏はパリアンツィアについて詳細は明かさなかったものの、「長距離」能力があると称賛し、同国の現在のドローン群の最大射程である1500キロを上回る可能性があると示唆した。