ANALYSIS

中国、愛国教育を強化へ 元日に新法施行

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建国70周年を祝って国をたたえる歌を歌う人々=2019年9月/AFP/Getty Images

建国70周年を祝って国をたたえる歌を歌う人々=2019年9月/AFP/Getty Images

しかし、中国では数年に及ぶ厳格なゼロコロナ政策の結果、2022年に若者たちによる前例のない規模の抗議行動が勃発。また現在も経済は低迷し、若者の失業率は過去最高を記録した。このような状況下で新法が施行され、国民の不満は今後さらに高まる恐れもある。

この点、専門家らは、中国政府はこの新しい法的枠組みについて、今後さまざまな課題が予想される中、社会の安定を確保するために、国民の愛国主義を駆り立て、力を結集するための手段と見ている可能性もあると指摘する。

中国は長年、国民が国のビジョンを一種の「社会契約」のように受け入れてくれることを当てにしてきたが、今後数年間は大きな困難に直面するだろう、と語るのは、英ノッティンガム大学の准教授で中国政治が専門のジョナサン・サリバン氏だ。

サリバン氏は「景気の低迷が長引けば、国民を説得するのは困難になるだろう(中略)中国政府は、政治的に正しい考え方を完全に確立し、共産党の手段こそ中国にとっての唯一の手段であり、国を愛しているなら共産党も愛すべき、という考え方を確固たるものにしようと努めている」と述べた。

香港では19年に民主化を求める大規模なデモが起きて以来、中国政府のこのメッセージが強調されてきた。

中国政府は、香港で新世代の愛国者たちを育成する意向を明確に示し、愛国主義教育の規則と、非愛国者とみなされた者が公職に立候補することを禁じる政治的制約を導入した。

また今年は10月1日に中華人民共和国建国75周年を迎える。当局者らは、愛国主義が間違いなく祝福され、国民からの反発の可能性を完全に排除しなくてはならないというプレッシャーにさらされることだろう。

あらゆる階層に向けた愛国主義カリキュラム

新法の下では、科学者からアスリートまで、全ての専門家は、「国に栄光をもたらす愛国的感情や行動」を国民に啓蒙(けいもう)するよう促されている。

また地方当局は、博物館や中国の伝統的な祭りといった文化財を活用して「国と家族への思いを高める」こと、そしてニュース報道、放送、映画を通じて愛国主義教育を強化することが義務付けられている。

さらに宗教団体も、「教団職員や信者たちの愛国的感情や法の支配への意識を高める」ことが求められている。中国政府は、宗教の「中国化」を推進するとともに、宗教に対する規制を強化しており、この規定はそうした動きとも一致する。

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