バチカン高位の枢機卿、81歳で死去 少年への性的虐待で有罪評決も後に覆る
ローマ(CNN) ローマ教皇庁(バチカン)の高官を務めたオーストラリア出身のジョージ・ペル枢機卿が死去した。秘書が10日夜に明らかにした。81歳だった。ペル氏は少年への性的虐待で有罪評決を受けたが、2020年に最高裁が評決を破棄し、無罪を言い渡していた。
ペル氏は当時、少年への性的虐待で有罪となったカトリックの聖職者の中で最高位の人物だった。
同氏は死去の前、人工股関節置換手術のためローマの病院に入院していた。手術は成功したものの、その後で心停止に見舞われたという。
同氏はカトリック教会で3番目の地位とも目される財務長官にまで上り詰めた。在職期間は14~19年で、フランシスコ教皇による財政改革の責任者となった。ただ性的虐待の疑惑でオーストラリアに呼び戻されたため、改革自体はほぼ頓挫した。
ペル枢機卿はバチカンの財政改革の責任者を務めていた/Getty Images
ペル氏は上記の罪状で18年に有罪評決を受け、13カ月を刑務所で過ごしたが、この評決は20年4月の裁判で覆された。本人は容疑を強く否定しており、16年の警察の取り調べでは「空想の産物」と一蹴していた。
刑務所から釈放されたペル枢機卿=2020年4月7日、メルボルン/WILLIAM WEST/AFP/Getty Images
アンソニー・フィッシャー・シドニー大司教はフェイスブックへの声明でペル氏の死去に弔意を表明。ペル氏の魂の安らぎと、遺族らの心の平安を祈るよう呼び掛けた。