軍事力見せつけた中国、今度は台湾の果物を標的に

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家族とブンタンを生産するリ・メンハンさん。禁輸措置は不意打ちだったと語る/Tom Booth/CNN

家族とブンタンを生産するリ・メンハンさん。禁輸措置は不意打ちだったと語る/Tom Booth/CNN

中国の経済的報復によって影響を受けたのはリさんだけではない。行政院農業委員会によれば、台湾で昨年生産されたブンタンは8万2000トンあまりで、このうちの約7%にあたる約5000トンが中国本土に輸出された。

行政院の試算によれば、かんきつ類や魚2種類に対する禁輸によって台湾の輸出に6億2000万台湾ドル(約28億円)相当の影響が出るとみられる。

麻豆の農業組合の幹部によれば、麻豆には約2000~3000のブンタンの生産者がいる。ブンタンの大部分は国内で消費されるものの、禁輸によって市場価格に影響が出て収入が減る可能性が高いという。

同幹部は「禁輸は生産者にとって厳しい。突然の禁輸で全てが止まることもあり得る。ブンタンの木は数十年も生き続け、年を重ねるごとに甘さが増す。そのため生産者がブンタンを放棄することもできない」と語る。

中国は昨年以来、台湾に対して軍事的、外交的、経済的圧力をかける度合いを高めると同時に、複数の台湾産の農産物を標的にしてきた。

中国は直近の禁輸以前にも台湾産のパイナップルやバンレイシ、レンブ、高級魚ハタなどを輸入禁止にしており、いずれも殺虫剤や有害な化学物質の存在を理由に挙げている。

専門家は、中国政府による禁輸の動きは政治的な動機によるもので、台湾に対してルールに従うよう圧力をかけようとしているとの見方を示す。

果物と政治に関する著書もあるチャオ・チュン氏は「中国はペロシ氏の訪台によって台湾に対して経済的に圧力をかける新たな機会を得た。これは政治的な動機による台湾への経済制裁だ」と述べた。

チャオ氏によれば、直近の禁輸は短期的に台湾の農業従事者に影響を及ぼすとみられるものの、農産物の輸出は台湾の貿易全体では小さな割合でしかないため、大きな経済的な打撃を生み出す可能性は小さいという。

台湾の最も価値がある輸出品は最先端の半導体だ。特に台湾積体電路製造(TSMC)は半導体の受託製造の世界大手で、業界の推計によれば、世界の高度な半導体の90%を製造している。

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