片道切符でウクライナへ、外国人兵士を助ける衛生兵に 米女性

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21歳の米国人女性、ウクライナに渡り衛生兵に

ウクライナ・ハルキウ近郊(CNN) でこぼこの未舗装の道路を車で移動し、地元警察の付き添いを受けながら、外国人部隊が拠点にしているという雑木林の中に入った。ウクライナのこの地域によくあるような村だった。家屋は破壊され、砲撃の痕が見て取れる。

木々に覆われた場所の下を歩くと、遠くの迫撃砲の音が聞こえる。小さなヘビがはい寄ってきたが、すぐに姿を消した。取材班は小さな斜面に歩み寄り、中庭に入った。そこでは、兵士たちが車両の荷造りをしていた。兵士たちはこれに乗り前線へ向かうことになっている。無線のやり取りからは米国のアクセントが聞こえる。

兵士たちは、記者の集団を目にして驚き、当惑したようで、取材班を手で追い払った。明らかに兵士たちには差し迫った問題があるようだ。しかし、指揮官とのやり取りの後、部隊で「ベビードッグ」として知られる米国人女性の衛生兵(21)を見つけるように言われた。

ベビードッグはウクライナの熱い太陽の下に立っていた。軍の制服を完全に着込み、医療用具はジャケットのポケットに入っている。銃は右肩に掛けられ、ウクライナへの忠誠を誓う印である黄色のテープが左の肩と腕に巻かれていた。カメラに話しかけたとき、顔は濃い緑色の目出し帽で覆われていた。目だけが眼鏡越しに見えている。

ベビードッグはCNNの取材に対し、「米国ではたいしたことはしていなかった。2つの仕事をしていたが、かなり退屈だった」と語った。

ロシアがウクライナへの侵攻を開始したころ、ベビードッグは米ユタ州でありふれた日常を送っていた。ニュースで状況が明らかになるにつれて、何かしなくてはならないと感じたという。

そこで、ベビードッグはウクライナへの片道切符を購入して、ロシア軍から攻撃を受けているウクライナを防衛するための戦いに参加した。

ベビードッグはウクライナ北東部ハルキウの郊外にある村で取材に答え、「傍観していられなかった。誰かが意味もなく犬を蹴っているのを、犬の頭を蹴飛ばしているのを座ってみているようだった」と振り返った。

CNNは、安全上の懸念や外国人兵士の危険につながることから、ベビードッグの名前や部隊の正確な位置は明らかにしない。

ベビードッグは、ウクライナ領土防衛隊の外国人部隊に入隊した。ウクライナ政府は2月下旬に外国人の戦闘員を兵士として採用するプログラムを開始していた。

ベビードッグは米国人やドイツ人の戦闘員で構成された部隊で衛生兵として働いている。新しい生活については「ジェームズ・ボンド」の映画と比較した。

ボンドもそれ相応の暴力と死を目撃しているが、ベビードッグは数週間前に初めてそれを経験した。間近で戦闘を目撃したのだ。

「大きな医療用のバッグを背負っていた。全員が全ての装備を身に着けていた。雨が降っていた。ひどい状況だった。我々は45度の丘の道を上っていたが、どこからともなくクラスター爆弾が来た」(ベビードッグ)

ベビードッグは爆風によって木々の生えている場所まで吹き飛ばされた。兵士の1人が道路に横たわっているのを目にしたので立ち上がり、駆け寄ろうとしたとき、2つ目の爆弾が爆発した。

ロシア軍は「ダブル・タップ」と呼ばれる戦術を使っている。これは同じ場所を2度、数分の時間をおいて攻撃するというもので、混乱を引き起こす。

クラスター爆弾が爆発している間に負傷した兵士を木々の中に運び込んだものの、すでにこのオランダ人の同僚は死亡していた。

死亡したオランダ人兵士はウクライナの戦闘で死亡した外国人兵士の1人に過ぎない。ウクライナ防衛に加わった外国人戦闘員の担当組織の関係者は先ごろ、外国人兵士4人が死亡したと明らかにしていた。

ベビードッグは同僚の死について「とてもつらい。私だったかもしれないと考える」と語った。こうして目撃したり体験したりした恐怖が、神への信仰を揺るがしたという。

ベビードッグは「以前は、人間が別の人間に何の理由もなく何ができるのかを実際に見たことはなかった。神がこれを許しているのか、あるいは、ただ起こるに任せているのかと考えると少し動揺する」と語り、台尻を親指でたたきながら視線をそらした。

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