世界の大気汚染、WHOの新基準では全対象国が不合格
(CNN) 昨年1年間の世界の大気汚染状況をまとめた報告書によると、世界保健機関(WHO)の新基準で合格点に達した国はひとつもないことが分かった。
大気汚染の実態を監視するスイス企業、IQエアが世界117カ国・地域の計6475都市について、有害な微小粒子状物質PM2.5の濃度などを調べた。
WHOは昨年9月、各国政府による保健政策の基準となるよう発表している汚染状況の指針を改定。PM2.5濃度の年間平均の目標値を、それまでの1立方メートルあたり10マイクログラムから同5マイクログラムに引き下げて、基準を厳しくした。
IQエアによると、昨年のデータでは調査対象のすべての国、97%の都市で、汚染がこの基準を上回った。PM2.5の平均濃度が基準を下回った都市は世界で222カ所、地域としては南太平洋の仏領ニューカレドニア、カリブ海の米自治領プエルトリコと米領バージン諸島の3カ所にとどまった。
大気汚染がWHOの基準の10倍以上と、最もひどかった国はインド、パキスタン、バングラデシュなど。1~2倍にとどまったのは北欧諸国やオーストラリア、カナダ、日本、英国だった。
米国の昨年の数値は前年を上回り、WHOの基準の2~3倍だった。全米2400カ所あまりの都市のうち、汚染が最も深刻なのはロサンゼルスだった。